魅惑の「最強古生物」電車1両サイズのナマコが鋭い歯でガブリ! 

面白いのは恐竜だけじゃない
土屋 健 プロフィール

古生物は恐竜だけじゃない

日本において、アノマロカリスに大々的なスポットライトを浴びせたのは、1990年代半ばに放送されたNHKスペシャル『生命40億年はるかな旅』が最初だろう。

1990年代半ばといえば、アノマロカリスの姿が明らかになってからさほど間もない時期である。このとき、NHKはアノマロカリスのロボットをつくって、その生態を検証している。

そのときから、アノマロカリスは少しずつ社会に浸透をはじめた。この『生命40億年はるかな旅』に登場したアノマロカリスをモデルにした模型がつくられた。その後、ほぼ実寸大の人形もつくられている。

関連書籍も多く刊行されている。フィギュアやグッズも少なくない。近年では、2015年には、NHKスペシャル『生命大躍進』が放送され、ここでも迫力のあるアノマロカリスがCGで復元された。少しずつではあるけれども、“市民権”を得てきている……と筆者は思っていた。

 

しかし筆者がトークショーなどで参加者に質問をした限りでは、まだまだ“未知の動物”だった。「恐竜や化石に興味がある」という人々にも「アノマロカリスを知らない」という人が多かった。

なんともったいないことだろう!

個人的には、もっとこのコを知ってもらいたいと思う。なぜならば、「古生物は恐竜だけじゃない」の象徴的な存在といえるからだ。

さまざまな話題性を内包し、その姿も実にソソル。恐竜に興味をもったみなさんが、次にアノマロカリスに興味をもち、そしてアノマロカリスを“橋頭堡”として、他のさまざまな古生物にその知的好奇心を向けてほしいと思う。

今や恐竜は完全に“市民権”を得ている。次は、アノマロカリスの番だ。

どうかみなさんも、このコの“布教活動”にご協力頂きたい。

古代生物の奇妙珍妙な姿から危険な生態まで、驚きに満ちた一冊
土屋健(つちや・けん)
サイエンスライター。オフィス ジオパレオント代表。埼玉県出身。金沢大学大学院自然科学研究科博士前期課程終了。修士(理学)。日本地質学会会員。日本古生物学会会員。修士号取得後に株式会社ニュートンプレスに入社。科学雑誌『Newton』および関連ムックの記者・編集者、部長代理を経て独立し、現職。雑誌などへの寄稿も多数。地質学や古生物学に関係した著作を中心に、研究機関のパンフレットの執筆、編集なども行っている。