ドゥテルテ大統領の「大誤算」まさかISがこんなにしぶといとは…

戒厳令下の戦闘が終わらない
大塚 智彦 プロフィール

激しい戦闘から膠着状態に

しかし、それから2週間が経過した6月6日の時点でも、マラウィ市の戦闘は続いている。これまでに一般市民20人を含む170人が死亡、人口約20万人のうち約18万人が避難するという異常事態となっている。中心部には現在も一部の市民が取り残されているという。

政府は市内の大半を奪還したと強調するものの、市の中心部は依然として武装勢力が占拠しており、そのほか市内各所に広がる地下壕やトンネルにもまだ多数が潜伏しているという。地下施設などには十分な食糧や武器も蓄えられ、「1ヵ月程度籠城可能」「空爆に耐えられる地下施設」など、戦闘の長期化が懸念される情報が次々と伝えられている。

 

5月31日には国軍練習機SF260による空爆が行われたが、誤って政府軍部隊を爆撃してしまい、兵士11人が死亡する「誤爆事故」が発生。国軍参謀長が事故の真相究明を命じるとともに、空爆を一時中止する事態に追い込まれた。

現地からの報道などによると、アブサヤフとマウテグループは空爆の目標から外されている教会や病院と地下に潜伏していて、スナイパーによる待ち伏せ攻撃や、人質を使った「人間の盾」で国軍の攻撃をしのいでいるという。

〔PHOTO〕gettyimages

アブサヤフは、ドゥテルテ大統領が就任後に呼びかけた全ての反政府武装勢力への「停戦和平」に応じることなく、外国人などの誘拐、身代金要求、殺害、国軍兵士への襲撃を続けていた。

マウテグループはもともと、元警察官のアブドラ・マウテ、オマール・マウテの兄弟が組織した麻薬関連組織で、犯罪者やならず者、麻薬関係者が集まったグループに過ぎなかったが、最近はISへの傾倒が著しく、2016年9月のミンダナオ島ダバオでの爆弾テロや同年11月のマニラの米大使館付近で爆発物が発見された事件などへの関与が疑われていた。

フィリピン海兵隊が最近、マラウィでの戦闘で応酬した武装組織の武器には米国製M4自動小銃などが多く含まれており、地下施設を利用したり、狙撃手を使ったりする戦術などからも、アブサヤフやマウテグループに加えて外国からの武器流入、そして外国人メンバーの合流、戦闘参加の可能性が強まっていた。