60歳を過ぎての「耳かき」は重大な疾患を引き起こす

風呂上がりの綿棒もやめたほうがいい
週刊現代 プロフィール

やればやるほど悪化する

取れた汚れが一目でわかる黒い綿棒が人気を集め、繁華街には「耳かきエステ」まである、まさに「耳かき先進国」ともいうべき日本。

だが世界では、耳かきに関して間違った知識を持っている人があまりにも多いと、警鐘を鳴らす動きが強まっている。

アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)聴力委員会会長のダグラス・バカス氏は次のように語る。

「アメリカでは、毎年のべ1200万人が、『耳垢が溜まりすぎている』と思い込んで、病院に駆け込んでいるとの統計があります。

話を聞いてみると、『なんとなく耳がムズムズするから』と耳かきがやめられない人が多いようですが、これは負のスパイラルに陥っている証拠です。

というのも、皮膚はこすればこするほど、ヒスタミンが放出され、炎症を起こしてしまうからです。おまけに、挿入した綿棒などが皮膚の表面の水分を奪うことで、よりかゆみが増していくのです」

 

バカス氏の所属するAAO-HNSFが今年1月に公表した耳かきに関するガイドラインでは、「綿棒は耳の中に入れるものではない。耳の掃除をやりすぎてはいけない」とこれまでになく強いトーンで危険性をアピールしている。

「外耳道を傷つけるだけでなく、鼓膜に穴が開いたり、外耳から内耳へ音の振動を伝える耳小骨が損傷したりする可能性がある。そうなると、聴力の低下や目まい、耳鳴りなどの症状が起きる可能性がある」(ガイドラインより)

綿棒は、耳に入れるべきものではない――。それが事実なら、長年我々は、完全に誤った使い方をしてきたのである。

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「北米で最もポピュラーな綿棒『Q-tips』の公式サイトには、『綿棒は外耳道に入れずに、耳たぶの周りを掃除するのに使ってください』と注意書きがあります。

おそらく他社の綿棒にも『Q-tips』と同様に、使用方法をある程度制限する文言がパッケージに掲載されているはずです。

また、日本でポピュラーな竹製の硬い耳かきは、綿棒よりもより外耳道を傷つけるリスクの高いもので、本来は使うべきものではないのです」(前出・バカス氏)