前川・前事務次官に激怒して、安倍官邸が使った「秘密警察」

彼は長年、マークされていた…!?
週刊現代 プロフィール

天下り問題にはウラがあった

17日夕方に行われた菅氏の定例会見の直前、政権内部ではこんなやりとりがあった。文書のリークを知って慌てふためいた、文科関連の要職に就く政治家が、「官邸の最高レベル」の幹部のもとに相談に向かったのだ。

「あの文書、文科省のものに間違いないようです」

こう切り出した政治家に対して、官邸幹部は怒鳴り散らした。

「そんなこと言ってる場合じゃねえだろ!どうすんだよ!役所の用箋でもないから、あれはただのメモだ。違うか」

会話はこう続く。

「でも、『違う』と言い切ってから後々証拠を出されると、森友学園よりもヤバくなりますよ」

「それで、出元は分かってんのか?」

「…………」

「お前らが弱腰でどうすんだよ!もう(菅)長官は怪文書だって筋で会見するつもりだ。それで通せよ、いいな」

「(官邸の)方針が決まってるなら……」

件の文書は安倍政権にとって「致命傷」となりかねないものだった。何しろ、安倍総理が加計学園に便宜を図ろうとしたことを裏付ける証拠が、初めて報じられたのだ。

だが、これまで4年半もの間、あらゆる不祥事を乗り切ってきた菅氏は、老練だった。官邸の「目と耳」――永田町、霞が関、そしてマスコミの隅々に網を張り巡らせる、内閣情報調査室(内調)と公安警察を駆使したのである。すべての元凶、前川氏を排除し、社会的に抹殺するために。

 

公安の内情に詳しいジャーナリストの青木理氏によれば、前川氏クラスの大物官僚は、平時から官邸の監視対象だという。

「警視庁公安部は、テロ組織や過激派以外にも、日常的に中央省庁幹部、次官・局長クラス、さらには問題を起こしそうな官僚や重要案件の担当者などの身辺情報を集めています。

また、内調は事実上、公安の『官邸出先機関』のようなものです。彼らが日頃から蓄積していた前川氏の情報の中に『出会い系バー』の話があったのでしょう」

文科省内でもリベラル派として知られた前川氏は、小泉政権時代には自身の喜平という名をもじった「奇兵隊、前へ!」というブログを公開し、政権を批判するなど、霞が関でも目立つ存在だった。以前から、長年にわたりマークされていたとしてもおかしくない。

一方、「出会い系フーゾク」について、朝日新聞のインタビューで前川氏はこう答えている。

「昨秋、首相官邸幹部に呼ばれ、『こういう所に出入りしているらしいじゃないか』と注意を受けた」

官邸は、単に彼が変わり者だから監視していたのではない。前述の通り前川氏、そして高等教育局の幹部が、加計学園の獣医学部新設に対して強く反対していたからこそ、このような「警告」をあえて行ったのである。

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官邸・加計学園と前川文科省の対立を示す「物証」も出てきている。昨年11月8日、高等教育局の職員数名で共有された、以下のメールだ。

〈先日に加計学園から構想の現状を聴取したことについて、昨日、大臣及び局長より、加計学園からに対して、文科省としては、現時点の構想では不十分だと考えている旨早急に厳しく伝えるべき、というご指示がありました〉(原文ママ)

この翌日には、国家戦略特区諮問会議が行われている。つまり文科官僚たちは、加計学園が獣医学部新設の「お墨付き」を安倍総理からもらうギリギリまで、「われわれは加計を認めていない」という抵抗の意志を示し続けていたのである。