前川・前事務次官に激怒して、安倍官邸が使った「秘密警察」

彼は長年、マークされていた…!?
週刊現代 プロフィール

朝日vs.読売の「代理戦争」

一方で、この読売新聞の唐突な報道について、永田町・霞が関の住人の見方は一致している。前川を潰せ――安倍官邸がそう指示を出して掲載させたものだ、と。

読売新聞OBで、ジャーナリストの大谷昭宏氏は、記事を一読して抱いた違和感をこう語った。

「前川氏が買春をしていたかどうか、その核心の事実が全く書かれておらず、誰の証言もない。もし名誉毀損で訴えられたら負けるでしょう。

私がいた頃の読売社会部の基準なら、取材が甘すぎて絶対に掲載できない内容です。デスクに『誰に頼まれて書いてるんだ?』と一喝されるのが関の山ですよ。

読売がこの記事を積極的に書いたとは思えませんが、もし何らかの指示や圧力があって掲載したのであれば、OBとして本当に恥ずかしく、情けなく思います」

安倍総理は、憲法改正に関する自身の立場と考えを国会で問われ、

「読売新聞を熟読していただきたい」と答えて顰蹙を買った。これでは読売は、官邸の意に沿う情報だけを読者に知らしめる「広報紙」と思われても仕方がないだろう。

 

では、どのようにして官邸は、「前川潰し」のスキャンダルを入手し、読売に流したのか。

発端は、朝日新聞が5月17日朝刊でスクープした「加計学園の獣医学部開設に関する文科省の内部文書」。

文科省の大学新設担当部局である高等教育局へ、特区担当の内閣府から、加計学園の獣医学部開設について「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと、明白な圧力がかかっていたことを示すメモだ。

「総理は一切指示をしていない」「誰が書いたか分からない」「こんな意味不明のもの、いちいち政府が答えることはない」「怪文書みたいなもの」

菅義偉官房長官は同日の会見で、いつものごとく表情一つ変えず、めった斬りにした。だが内心、腸は煮えくり返っていたに違いない。背景について、自民党ベテラン議員が言う。

「件の内部文書は他でもない、当時事務次官だった前川氏の主導で作られ、朝日に渡ったものだったと聞いています。

菅義偉官房長官Photo by GettyImages

霞が関でそれほど強い発言力がない文科官僚にとって、大学の許認可は最大の利権です。『そう簡単に通すわけにはいかない』というプライドもある。そこへ官邸が手を突っ込んだんだから、頑なになるに決まっている。

前川氏は、昨年に『加計学園ありき』の獣医学部新設計画が持ち上がった時点から、『文科省が抵抗したことの証拠を残せ』と、現場に逐一記録を取らせていた。つまり彼は、強硬な『反・加計』『反・安倍』だったのです」