「年収4千万・退職金1億」最高裁判所エリートの羨ましすぎる境遇

裁判よりも「出世」が大事!
岩瀬 達哉 プロフィール

しかし、現場の裁判官たちの多くは、最高裁の方針をどこか醒めた目で見ている。

ある中堅裁判官は「事務総局に行く人は、基本的な能力が高いのは認めます。しかし法廷での実務経験が少ない。そういう人たちが、全国の裁判官に、あれこれ指示を出すことへの違和感は、払拭できない」という。

また、ベテランの高裁裁判長は、ため息とともにこう語った。

「本来、最高裁長官なり最高裁判事は、現場の裁判を一生懸命やってきた人の中から上げるのがいい、と僕は思う。

裁判するときの事件に向き合う姿勢だとか、弱い人の意見でも理由があれば吸い上げる。強い人の意見でも、理由がなければ応じない。そういうセンスは、司法行政部門では養えないからです」

 

実務を知らないエリート

実際、司法行政部門での勤務が、裁判官人生の8割近くを占めていた、ある最高裁判事の地裁裁判長時代の判決文は、判事補なみの稚拙な内容だったと、語り草になっているほどだ。

前出の矢口洪一も、司法行政部門で8割近くを過ごしているが、東京地裁の保全部にいた時、どのように法廷を指揮していいのかさっぱりわからないと、同僚裁判官にこぼしていた。

ただでさえ、最高裁は、行政官庁や学者出身など実務を知らない最高裁判事が半数近くを占めている。

検察庁や行政官庁から来る判事は、自身の出身母体での検事総長レースや次官レースに敗れた官僚が、一種の天下り先としてやってくるケースもある。

もともと裁判実務面での法的判断は期待されていないものの、この種の「天下り組」には、意欲という点で、疑問符がつく人も、中にはいるはずだ。

それだけに、裁判官出身の最高裁長官や同判事の「裁判実力」が問われるのだが、現在の6名を見ても、裁判部門での勤務期間が、司法行政部門より長いのは、菅野博之判事だけだ。

あとは司法行政部門での勤務の方が圧倒的に長く、少ない部類の戸倉三郎判事でも68%は司法行政部門である。また、最も長い寺田逸郎長官にいたっては78%が司法行政部門での勤務だ。

まして、「お友達人事」で、気心の知れた裁判官を引き上げるにあたっては、箔付のため、短期間、高裁長官にして、最高裁判事に任命するということまでしている。

これは、裁判現場を踏み台にする行為として、多くの裁判官は、口にこそ出さないものの内心不満を募らせている。

このような現状にあって、最高裁長官や同判事は、その期待されている職責を本当に果たせているのだろうか。

いったい、いつから最高裁は現場の裁判官たちと乖離してしまったのか。