「年収4千万・退職金1億」最高裁判所エリートの羨ましすぎる境遇

裁判よりも「出世」が大事!
岩瀬 達哉 プロフィール
霞が関Photo by GettyImages

裁判より出世が大事

「それによって、さらに自分自身をブラッシュアップする機会が増え、結果として成長し、最高裁判事にふさわしい実力を備えるようになると言えます。

しかし地方の裁判所で、種々雑多な裁判にまじめに取り組んでいる裁判官には、そのような機会は与えられない。これで腐らない人などいないわけで、矢口さんは裁判所の一体感を阻害し、現在にまで悪影響を及ぼしていると思います」(ある現職裁判官)

かりに、やる気を失った裁判官が、根を詰めて事件に取り組むという熱意を失ったら、そのしわ寄せが国民に及ぶのは、火を見るよりも明らかだろう。

だからこそ、最高裁長官は、人が腐らない人事ローテーションに腐心しなければならないのだと、事務総局での勤務経験のある元裁判官は言う。

「スタート時点の成績が悪かったとしても、日々の仕事ぶりを正当に評価し、もうちょっと頑張れば、自分にも研鑽のチャンスが与えられるという人事をすべきなのに、一向にやろうとしない。

これこそが怠慢だと思うのですが、事務総局のエリートにはそれがわからないようですね」

 

最高裁の堀田眞哉人事局長が参議院法務委員会に報告したところでは、海外留学や民間企業、弁護士事務所など外部研修に出る若手裁判官は、毎年、95名程度(2015年5月14日付議事録)。

これは、約900名の判事補の1割ほどであり、毎年、90名程度の新人裁判官が任官することを考えれば、選ばれた人以外には、自己研鑽の機会はそうそう巡ってこない。

こんなことを続けていれば、裁判所の実力は落ちる一方と嘆くベテラン裁判官や元裁判官は多い。

最高裁が外部研修を本格的に取り入れたのは、約35年前、1982年のことだ。表向きの理由は、「余裕を持って社会情勢を見直す機会を与えるため、判事補から判事、裁判官から裁判長になる対象者を任地を離れて国内留学させる」というものだった。

しかし本当の狙いは、別のところにあった。

前年の4月、東京地裁民事第20部(破産部)には、東京地検特捜部が贈収賄容疑で強制捜査に入っている。

破産部は、破産会社の資産管理を弁護士から選任した破産管財人に任せ、その管理と処分、公平な配当を行わせることにある。

弁護士にとって破産管財人は、うまみのある仕事で、この事件では、裁判所から選任を受けた弁護士は、年間約1000万円の報酬を得ていたという。

この弁護士は、他の案件についても破産管財人に選定してもらえるよう、以前から破産部の裁判官を買収。ゴルフセットや背広を贈り、ゴルフ接待も繰り返したのである。