「年収4千万・退職金1億」最高裁判所エリートの羨ましすぎる境遇

裁判よりも「出世」が大事!
岩瀬 達哉 プロフィール

レールに乗れるかどうか

学者から最高裁判事に登用された園部逸夫は、政治学者の御厨貴が編集した『オーラル・ヒストリー』のなかで、日本の裁判所は「エリートのレールに乗っている人と、乗っていない人が必ずいるわけで、エリートのレールに乗っていなかった人が、エリートのレールにスッと路線変更できるかと言うと、ほとんど難しいわけです」と述べている。

ここで言うエリートとは、司法試験の順位と、司法研修所の卒業試験の上位者であり、彼らの多くが事務総局入りするのである。

「ミスター司法行政」の異名を取った第11代最高裁長官の矢口洪一もまた語っている。

 

「率直に言って、事務総局には、いい人材を集めています。事務総局と、研修所の教官と、最高裁調査官、その三つは、いずれも一番いい人材を集めている。その功罪は問われるでしょう。

けれども、いい人材でないと、国会なんかはまだいいですが、大蔵省など行政官庁と折衝するときに、対等に折衝できないんです。裁判では、法服を着て、あそこへ座れば、当事者は言うことを聞くんです。

しかし事務担当として司法行政するにしても、法案を作る法制審議会の監事、あるいは監事の下請けをやるにしても、委員になるにしても、そういう後ろ盾はありません。

法務省との折衝、大蔵省との折衝、国会との折衝についても同様です。大体、そういうことができる人は裁判もできるのです」(『矢口洪一オーラル・ヒストリー』)

裁判官は法律のプロではあっても、行政官のようにゼネラリストではない。そのハンデを克服するため、矢口は、お眼鏡にかなった若い判事補たちを事務総局に集めてきた。

霞が関での裁判所の地位を上げないと、公正な裁判は保障できなくなるという危機感からであろう。

「大蔵省との折衝などの場合、『こいつはちゃんとやるな』とか、『ちょっと駄目だな』とかいうことが、すぐ全体に響いてきますからね。予算の説明でも、そのことによって予算が一千万円違ったら、やはり困るんです。

それで信用を得れば、知識が広くなり、見聞も広まって、ますますよくなっていきますからね」(前掲『矢口洪一』より)

「司法官僚」を養成するための研修にも、矢口は力を注いできた。彼らには、海外留学のほか、法務省、外務省などへの出向といった「研鑽のチャンス」が与えられてきたのである。