「痴漢」と叫ばれ、線路に逃走して命を落とした男の悲劇…

これは、他人事ではない事件だ
週刊現代 プロフィール

「救急隊が線路内に入り、車両の下を懐中電灯で照らして救助活動を行っていました。下り線の電車は、ホーム先頭部分より50m手前で停車していました。

男性はホーム上へ運ばれると、10分ほど心臓マッサージを受けた後、担架に乗せられて運ばれていきました」(前出・目撃者)

およそ1時間半後、男性は搬送先の病院で死亡が確認された。事故発生後、同線は1時間50分間も運転見合わせとなり、帰宅ラッシュ時に上下線57本が運休した。

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「すみません」が命とり

「男性が本当に痴漢行為をしたのかどうか真偽は不明のままです。現在、警察側は東京五輪に向けたテロ対策もあって、電車内に防犯カメラを設置することを鉄道会社に呼びかけていますが、首都圏でもまだ一部の電車しか対応できていません。

当該の電車にもありませんし、車内でなにがあったのかはもう解明のしようがない。被害を訴えていた女性も死亡事故になってしまったことに困惑していると聞いています」(全国紙支局記者)

男性が放った「すいません」の一言。これが始まりだった。多くの痴漢事件を手がけてきた弁護士の鳥海準氏はこう語る。

「『すみません』という言葉はこの種の事案では、議論の中心テーマになることがあります。『すみません』は自分の罪を認めて謝るときだけではなく、どこか体がぶつかったのかと咄嗟に出てしまうこともあるでしょう。

謝罪したわけではないのに、あのとき『すみません』と言ったじゃないかと、女性側から痴漢行為の証拠であると主張されることがあるんです。

女性らに取り押さえられ、駅員を呼ばれた男性の頭の中には、「駅員室に行ったら終わり」、そんな考えがあったに違いない。

'07年の映画『それでもボクはやってない』では、痴漢の濡れ衣を着せられた主人公が駅員室に連れて行かれると、警察官に逮捕され、裁判で理解のありそうな裁判官がいながらも、結局、有罪判決を受ける。

人気バラエティ番組『行列のできる法律相談所』でも、痴漢に間違えられたときの対処法として、弁護士4人中3人が『立ち去るべき』だとアドバイスしている。