なめている!東芝幹部 この期に及んで「それでもウチは潰れない」

「なんとかなるだろう」が蔓延…?
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こうした楽観視の背景には、「最後は国に頼ればいい」という考えがある。前出の東芝関係者が言う。

「WDが売却差し止めを申し立てた後、世耕弘成経産相が同社に矛を収めるよう、『お願い』の言葉を述べたり、最終的に否定されたものの、政府が東芝の債務保証、つまり借金の肩代わりをすることが示唆されたりしています。

東芝の幹部たちに『政府が東芝を潰せるはずがない』という思いがあるのは間違いない」

 

だが実際のところ、東芝メモリは売れないのではないか、少なくとも交渉は混乱を極めるのではないかと見ている識者は多い。東芝メモリへの入札を検討している産業革新機構の関係者がいう。

「WDは、売却について事前通告をしなかった東芝に強い不信感を抱いていますし、5月10日にトップ会談が行われた後には、同社の幹部が『銀行や政府が間に入ってくるせいで、東芝に主体的な力がない』と言っていた。

態度は強硬です。裁判で仲裁が行われる場合にも時間はかかる。フォルクスワーゲンとスズキの裁判では4年かかりました。両社の話がまとまらないなら、東芝メモリの売却は非常に困難。

実際、売却をスムーズに行わせようと画策している経産省の職員も、メインバンクであるSMBCの幹部も諦め顔になっています」

東芝Photo by GettyImages

社員がどんどん辞めていく

そんな中、新たな問題まで浮上してきた。キャッシュの問題である。全国紙経済部記者が明かす。

「東芝は、子会社の資金を本社に預け入れさせるという形で、資金繰りをスムーズにしていました。

しかし、子会社の東芝プラントシステムは、'16年3月期末時点で855億円あった預け金をすべて引き出した。『昨今の事情を考慮した』と言っています。子会社に投資をしている投資家が、リスクのある本社にお金を預け入れさせることを嫌がったためです。

差し当たって東芝がキャッシュ不足に陥ることは考えにくいですが、今後、資金調達をしにくくなるのは確かです」

迷走する組織からは人が逃げ出すのが必定。今回の会見でも、これまではなんとか東芝の「味方」に留まっていた人物が、ついにサジを投げたのではないかと見られている。

前出とは別の出席者が指摘する。

「これまで東芝の会見では、同社社外取締役の佐藤良二監査委員会委員長が必ず出席し、キチンとフォローしてきました。佐藤さんは4大監査法人のひとつ、トーマツの出身で、これまでは東芝の業績を承認してきました。

ところが今回の会見では、ついに佐藤さんが欠席したのです。もはや『撤退』したのではないかと、記者たちの間に動揺が広がりました」

さらに、東芝社内は「虫食い」状態になりつつあるという。全国紙経済部記者が言う。

「これから会社の中核を担っていくはずの中堅どころの社員がどんどん転職している。能力の高い社員は多いですから、東芝の1.5倍の給与を約束する企業もあるそうです。

残っている社員の不満も大きい。少し前、自社の株を買うように指示するメールが流れてきたそうですが、ある社員は『上場廃止かどうかというこの時期に、株を買う社員がいるわけないだろ』と憤慨していました」

長年の間、「国策名門企業」の地位に安住してきた東芝は、泥沼から抜け出す力を失っている。

「週刊現代」2017年6月3日号より