創価学会が「都民ファースト」を擁護することで日本政治は翻弄される

なぜ国会より都議会を優先するのか
島田 裕巳 プロフィール

都政が国政を振り回す

しかも、国会議員よりも都議会議員の方が、支持者との距離がはるかに近い。とくに公明党では、「住民相談」を活動の中心に据えており、創価学会員をはじめとする支持者の要望をかなえるために積極的に動いている。そうしたことも、学会員の数が多い東京都で地方議会議員の重要性を増すことに結びついている。

70年に公明党・創価学会は、「出版言論妨害事件」を起こしたことで「政教分離」を打ち出さなければならなくなり、議員はみな、創価学会の幹部の職から退いた。したがって、現在の都議会に創価学会の大幹部が居並んでいるということはまったくないのだが、創価学会が都議会選を重視する傾向は受け継がれていった。今でも創価学会員たちは都議会選挙には全精力を注ぐのだ。

 

一般の政党なら、地方議会で連立を解消するような事態が生まれたら、国会議員がそれを戒めたり、自民党と和解するよう動くはずである。

しかし、今回、公明党の党本部や国会議員がそうした動きをすることはなかった。党本部でも都議会公明党には介入できない、そんな雰囲気なのだ。

しかも、創価学会の本部も会員たちも、都議会公明党が自民党との連立を解消したことを歓迎し、かえって意気軒高だと聞いている。

都議会選の結果がどうなるかは分からないが、都議会公明党が自民党と和解する方向にむかい、ふたたび連立を組むことは考えにくい。仮に自民党が選挙で大敗すれば、再連立は、さらにはるかに遠のくはずだ。

創価学会一本かぶりの日本政治

都議会自民党が大敗した場合、自民党の本部は、創価学会の集票能力の強さを改めて認識せざるを得なくなるだろう。そして、もし、国政選挙で、創価学会の支持を得られなければ、議席の確保が難しくなるのである。

この数年、自民党は楽に選挙を戦ってきた。そこには、野党の弱さも影響しているが、やはり公明党との連立で、創価学会が自民党の候補者を支持してきたことがかなり大きい。現在の日本で、絶大な集票能力を持つ組織は、創価学会だけになってしまった。

かつての自民党は、日本遺族会や農協などの支持母体を持っていた。だが、日本遺族会は高齢化が進み、農協からも支持を得られなくなっている。

いま、宗教団体はほとんどが信者の減少という事態に直面し、創価学会も信者が増えているわけではない。選挙に一番熱心な婦人部の会員たちも、しだいに高齢化し、昔ほど精力的ではなくなっている。若い会員は、選挙活動に上の世代ほど熱心ではない。ただ、仕事から退いた壮年部の男性たちが活動を支えるようになったことで、なんとか集票能力を維持している気配である。

しかし、これまで集票能力を持っていたほかの組織に比べれば、創価学会の力はまだまだ健在である。かえって相対的にはその比重は増している。

右派の宗教的な政治勢力「日本会議」と自民党との関係がいろいろと取りざたされているが、集票能力という点では、日本会議は創価学会には到底かなわない。

自民党にとって、今回の都議会選挙は、公明党との連立を解消し、創価学会という票田を失ったとき、どうなるかを占う重要な選挙である。

はたしてどういう結果が出るのか。結果次第では、国政にも決定的な影響を与える。
自民党は、公明党の意向をいままで以上に組まなければならなくなるかもしれない。下手をすれば、連立解消という事態も想定しなければならない。

都議会選挙は、都民ファーストの勝敗だけが問題ではない。より大きな問題が、そこには存在しているのである。