所得格差3倍のトップとビリが激突!港区と足立区、住むならどっち?

それぞれの幸せと懊悩がある
週刊現代 プロフィール

カネはないけどダチはいる

「このあたりだと、大企業の創業家であるとか、政治家一族の奥さんも当たり前にいるので、ママ会でも、経済とか政治の話をすることはご法度。

先祖代々の家と財産を守り、どれだけ同じ生活レベルを維持するかが、本当の港区民が求める『価値』なんです。

金融とかITとかで一代で財を成して引っ越してきた人たちは『ヨソから来た人』という雰囲気が、どこかにあります」(Eさん)

一方の足立区は、こうした「見えざる選民意識」とは無縁だ。足立区の西新井で10年ほど焼き鳥屋を営む60代の店主が言う。

「もともと私は20年くらい六本木の焼き鳥屋で修業しましてね、独立した時に、妻の実家から近いここに店を持ちました。最初に来た時は、正直、寂れたところだなって思いましたよ(笑)」

焼き方や素材は六本木時代と極力変えないようにしていると胸を張るが、一串の値段は2分の1程度に抑えているという。

「この辺りにはね、人情がまだ生きてる。確かに、六本木には羽振りのいい人がいっぱいいた。みんな愛想は良いんだけど、なかなか心は開いてくれなかった。

店を辞めるとき、皆さん『独立するの?おめでとう。食べに行くよ』って言ってくれたけど、本当に来てくれた人は一人もいませんよ。

でも、この辺の人は、『オッチャンの顔がみたいから』って、私に会いに来てくれる。『ああ、ヨソ者の私なんかのことも気にかけてくれてんだな』って、ジーンときちゃうね」(焼き鳥屋店主)

Photo by iStock

この話を、港区のタワマン住民・A氏に伝えると「確かに、そういうぬくもりは、この辺にはないものかもしれませんね……」と少し寂しそうな表情を見せた。

「いいところに住んで、仕事のやりがいもあって、カネも十分にある。でも、たまに虚しさを感じることはあります。子供も地域と関係のない私立の一貫校に行かせたから、『地元にフラっと帰ってきたら、昔の友だちが温かく迎えてくれて』みたいなこともない。

子供のことを考えると、足立区の人たちみたいな生き方もちょっとうらやましいかな、と思いますね。でも、やっぱりヨーカドーの服は着たくないけどね(笑)」

後日、竹ノ塚で出会った「マイルドヤンキー」Bさんが、自宅に招いてくれた。竹ノ塚駅から自転車で2分、保木間にある2DKのアパートに家族4人。すぐ近くにはBさんの実家もある。

「さすがに医者になった友達はいねえけど、看護師もいるし、居酒屋やってるヤツも、実家のスーパー継いでるヤツもいる。みんな足立区に住んでるんスよ。

仲間の親とも知り合いなんで、何があってもすぐに助け合えるっていうか、メッチャ頼りになる。カネがないから、宅飲みばっかだけど、お兄さんもまた遊びに来てよ、友達紹介するから」

足立区と港区。そこにはそれぞれ、数字では表せない「悩み」と「幸せ」があった。

 

「週刊現代」2017年5月27日号より

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