「新薬はよく効く」という大誤解…それは製薬会社の販売戦略です

知っておきたい新薬のデメリット
週刊現代 プロフィール

高齢者ほど副作用が出る

もちろん古い薬にだって副作用はある。だが、長年の蓄積があるので経験のある医者にとっては副作用を予想しやすいため、より安全に処方できるのだ。

神戸大学大学院の岩田健太郎教授が語る。

「新薬のデメリットは2つあります。1つは値段がやたらと高いということ。そしてもう1つは副作用のデータが非常に少ないことです。

新薬が承認されるまでの薬効を確認するためのデータは、とても健康な人ばかりを集めた特殊な状況で記録されたものです。

もともと飲んでいる薬が少なくて、臓器は健常、高齢ではなく、妊娠もしていない――そんな健康な人だけが参加できる臨床試験でのデータなのです。

しかし、実際に薬が使われる現場では、患者さんは他にも多くの薬を飲んでいたり、臓器不全があったりします。当然、高齢の方も多く、薬の効き方も若い人とは違ってくる。

ですから、臨床試験とは副作用の出方も変わってきますし、データがない分、新薬ほど安全性に対する不安が大きいのです」

 

たとえばかつてガチフロという抗菌薬が新薬として出回ったことがある。しかし、しばらくして血糖値が上下する副作用があることが判明し、市場からは消えて行った。

ケペックという抗菌剤でも意識障害の副作用が出ることがわかり、すでに使われなくなっている。

他にも、Ⅱ型糖尿病治療薬のアクトスは、'99年に日本で承認された薬だが、米国で行われた10年にわたる研究の結果、長期間服用すると膀胱がんリスクが上昇するという副作用が確認された。

米国では訴訟沙汰になっており、製薬会社は23億7000万ドル(約3240億円、当時)もの和解金を支払っている。

Photo by iStock

新薬の開発には膨大な費用がかかる。製薬会社も営利企業なので、新薬を売ろうとするのは当然ともいえる。

問題なのは、処方する医者が新薬には未知の危険性があるということを患者に告知せず、時によっては患者の健康問題よりもMRとの人間関係を優先させて、製薬会社と共犯関係に立ってしまうことだ。

「残念ながら、なかには新薬に飛びつく医者もいます。

本来、新薬とは患者さんにとってその薬を使うしか治療の可能性がないときに初めて使うべきものなのです。もし、同じような効能が期待できる古い薬があるのであれば、わざわざ値段が高くてリスクも未知数な新薬を使うべきではない。

しかし日本人は患者も医者も新しいものに流れる傾向がある。薬も自動車のように新しいほうがいいと考えがちなのです。これは大きな誤解で、非常に危険なことです」(前出の岩田氏)

「新しいから効く」は大きな誤解。むしろ、「新しい薬ほど危ない」のだ。

「週刊現代」2017年5月27日号より