コレステロール値の大誤解~「高めのほうが長生き」というデータも

薬を飲めば飲むほど不健康になる!?
週刊現代 プロフィール

寝たきりにつながる可能性も

医師に勧められるままにスタチンを飲んでいたら、副作用に苦しむことになったかもしれない。前出の長尾氏が語る。

「スタチンには、筋肉と末梢神経が破壊される横紋筋融解症という副作用があります。急性で激烈型の横紋筋融解症は腎不全を引き起こして、命に関わります。

しかし、それ以上に注意すべきなのは、緩徐に副作用が現れる場合で、徐々に筋肉が落ちていくんです」

長尾氏が診た80代の外来患者は、腰まわりから下肢の筋肉がごそっと落ちてきたのだという。

「スタチンをやめてみると、進行が止まりました。特に筋力の衰えた中高年以上の女性が、体幹に近い筋肉の筋痛になった症例が多い。実は私も横紋筋融解症の、軽症・緩徐例の発生頻度が高いことを数年前まで知らなかったんです」

そのため長尾氏は、患者さんに、「この筋肉痛は副作用ですか?」と聞かれても、
「副作用は極めて稀で強烈です」と答えていた時期があるという。

「無知ほど恐ろしいものはありません。患者さんには申し訳ないことをしたと反省しています。高齢者がスタチンを服用することは、低栄養、免疫不全、筋力や心身の活力低下、ひいては寝たきりにつながる可能性があるんです」(長尾氏)

Photo by iStock

薬剤師・栄養学博士の宇多川久美子氏も言う。

「スタチンは酵素の働きを阻害するもので、免疫力にも関係するとされるミトコンドリアの働きも低下させてしまいます。

また、コレステロールは細胞膜やホルモンの原料となるなどエネルギー源とも言えるので、その数値を下げる際には慎重になるべきです。

過度にコレステロール値を下げるとガンや認知症のリスクも高まるとも言われています。コレステロール値は高くても症状はほぼ出ないのですが、心疾患などを引き起こす『サイレントキラー』に怯えて、患者さんは真面目に薬を飲むのです。

生活習慣病の薬は飲むと安心し、生活習慣そのものは改めなくなってしまうのが一番の問題だと思います。治さずに薬で抑えているというのは、疾患は静かに悪化しているとも考えられ、さらに別の薬が必要になるという悪循環につながります」

 

特にいま人気のクレストール、リピトールはもともと身体の大きい外国人のために開発されたもの。日本人の体質に合っているのかも疑問がある。

誤解だらけの薬、これがコレステロール薬なのである。

「週刊現代」2017年5月27日号より