血圧をめぐる大誤解〜「数値が下がればそれでいい」わけがない

あなたは薬を「誤解」している(1)
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人によって適正な血圧は違う

実際、オランダ、アムステルダム大学の研究者の研究によって、降圧剤を飲み続けることで脳の認知機能が低下することが証明されている。

「そもそもなぜ血圧を下げるかというと、脳卒中や心筋梗塞を予防するのが目的なのです。しかしながらたとえば80代の高齢者が日常生活に不自由をこうむってまで、遠い将来やってくるかもしれない病気を防ぐ必要はないという考え方もあります。

ちょっと血圧が高くても薬を出さない選択肢があってもいいのです。要はバランスが大事だということです」(前出・岩田氏)

日本高血圧学会のガイドラインによれば、上が140以上、下が90以上で、高血圧とされている。上が150を超えてしまったら、すぐにでも降圧剤を飲まなければならないと誤解している人もいるかもしれない。医師も勧めてくるだろう。

だが、血圧は年齢とともに自然と上がるものであり、かつての日本では、90+年齢が高血圧の目安とされていた。実際、150程度ならば、生活習慣をあらためることで改善できる場合が多い。

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老年医学の専門家である長尾クリニック院長の長尾和宏氏が語る。

「年齢や合併症、既往症の有無などによって、その人に適正な血圧があります。これは私の経験知でしかありませんが、仕事がバリバリできる人の多くは血圧が少し高めだと思います。

降圧剤で血圧を下げることで、意欲低下や性欲の減退、むくみ、転倒しやすいなどのマイナス面がいくつも出てきます。特に高齢者においては過度な降圧はQOL(生活の質)の低下につながり、逆に寿命を縮めてしまいます」

数値にとらわれず、適正な血圧はどのくらいか、自分の身体をよく知ることだ。

 

「週刊現代」2017年5月27日号より