宮澤ミシェル「もしも暴れん坊の僕が、この本に出会っていなければ」

宮澤 ミシェル プロフィール

この本との出会いはまったくの偶然。書店でぼんやりと棚を眺めているときに、直感で「あ、これいいかも」とパッと目に入ったものを選ぶと、自分にとって必要な本だったということがよくあります。

バカの壁』などで有名な養老孟司先生の本にも、そんな風に、偶然出会いました。一元論的な考えに否定的な点など、自分と共通することが多いんですよね。

養老孟司「バカの壁」

僕は大学を出た後、プロサッカー選手になりますが、結局、日本に帰化できたのは30歳の頃。半ば諦めかけていたけれど、申請だけは続けていました。その時は結婚して子供が2人いて、自分と同じ思いはさせたくなかった。

菅原裕子さんの『子どもの心のコーチング』は、子育てしている時に何度も読み返しました。子供の教育って、自分の経験の中からしか伝えられないと感情的に思いがちなんだけれど、そうじゃない。子供に理性的に対応するための手助けになる本だと思います。

菅原裕子「子どもの心をコーチング」

今、サッカー関連の仕事のほかに、教育委員会の委員も務めていますが、非常に参考になります。

茂木健一郎さんの著作も、教育を考える上でとても有意義。『脳が変わる生き方』を読むと、子供の脳の個性を、子供自身に探させることが教育の楽しみのひとつかもしれないと思い至りました。

茂木健一郎「脳が変わる生き方」

茂木さんの本にもそういう面がありますが、ジェームス・スキナーの『心をひらく』は、自分の人生を言葉で振り返る、確認のための書物という意味合いが強いんです。書かれているひとつひとつのフレーズに、「ああ、そうそう、こうなんだよね!」と心の中で強く相づちを打ちたくなる。今まで自分が考えてきたことを言葉にしてくれているような感覚です。

長い間、僕は国籍のことで自分の芯を揺らされ続けてきたわけで、いろんなわだかまりを溶かすのに時間もかかりました。本がなかったら、つぶれてましたね。今もリラックスする時間には必ず手元にある。ちょっとくさいけど、心の友なんです。(構成/佐藤太志)

▼最近読んだ一冊▼

「学生運動など養老先生の人生のターニングポイントに触れられていて、ページをめくるたびに面白くなってくる。日本人は『個人を生きる』ではなく、『世間で生きる』という独特の指摘が本当に鋭くて膝を打ちました」
 

宮澤ミシェルさんのベスト10冊

第1位『運命を拓く
中村天風著 講談社文庫 590円
「心を積極化する姿勢はスポーツはもちろん人生にも通じる。宇宙的なスケール観も不思議と違和感なく理解できる」

第2位『心をひらく
ジェームス・スキナー著 PHP研究所 1400円
「松下幸之助のことを外国人が書くのかと、興味を持って手に取った本。自分の講演などでもよく引用しています」

第3位『脳が変わる生き方
茂木健一郎著 PHP文庫 571円
「幼少期の脳の使い方など脳科学の知識をスタート地点に語られる茂木さんの知見は共感する部分が多いです」

第4位『人を動かす 文庫版
D・カーネギー著 山口博訳 創元社 650円
「自己啓発の古典的な著作。人間関係に悩んでいた時期に繰り返し読み、助けられました」

第5位『子どもの心のコーチング
菅原裕子著 PHP文庫 552円
「共感した時に子供が自ら動きたくなる、など子育てはもちろん教育論を学ぶにも役立つ本」

第6位『一粒の人生論
船井幸雄著 ダイヤモンド社 1200円
「現役引退直後に読みました。スポーツ選手とは違う形で社会に出ることの意味を考えた」

第7位『真経営学読本
福島正伸著 きんざい 2500円
「経営学を通して、スポーツ選手ができる社会貢献を考えるヒントにもなる一冊」

第8位『バカの壁
養老孟司著 新潮新書 680円
「養老さんの新しいものを積極的に受け入れる流動的な考えに自分に似た性質を感じた」

第9位『いのちの使いかた
日野原重明著 小学館 1300円
「100歳を超えた著者だからこそその言葉に説得力がある。講演にも行き、感動しました」

第10位『最後の授業 ぼくの命があるうちに
ランディ・パウシュ著 SB文庫 750円
「余命半年と宣告された大学教授の最後の授業。自分だったら何をするかと考えます」

週刊現代』2017年5月27日号より