マンション売買の仲介を行う「マンションマーケット」が運営するサイトにも連載を持つ氏に、マンション購入遍歴、購入の極意と哲学を聞いた。マンション購入に全く興味がないという方にこそ、ぜひお読みいただきたい。
学生時代の愛読誌は「住宅情報」
現代ビジネス編集部(以下G): いきなりで恐縮なんですが、私の知人で34歳の女性が、最近マンション購入を考え始めたというんです。それで、どんな情報を参考にしているの?と聞いたら、「マンションマニアさんに相談している」と。
ビートマニアやロッコツマニアは聞いたことがありますが、失礼ながら「マンションマニア」は初めて聞きました。一体どんな人なのか会ってみたいと思い、今日は取材をお願いしました。いろいろ教えて下さい。
マンションマニア(以下マンマニ): マンションのことならなんでも聞いてください。
G: そもそも不動産業者でもないのに、その年齢で6回もマンションを買い替えているというのが、不思議でなりません。私は33歳ですが、一度も買ったことがありませんし、そもそも買おうと思ったことさえありませんから!
マンマニ: やはり驚かれる方が多いですよね。私にとっては、ごく自然なことだったんですが。
G: 実家が資産家、というわけでもないんですよね?
マンマニ: 違います。一般的な家庭の生まれですし、私自身も以前は普通のサラリーマンでした。では、なぜ6回もマンションを購入したかというと…。例えば車好きの人なら、10年で6台車を乗り換えていてもおかしくないですよね。そんな感覚なんです。車好きの人が「カーセンサー」を読むように、私も学生時代に毎週「住宅情報」を読んでいましたから。
「18歳になって早く免許を取りたいな」と思うのと一緒で、私も、早く社会に出て、マンションを買いたいと思っていました。実家があまり大きくなかったこともあり、広い家に住みたいと夢見ていましたので。
G: 車とマンションでは、桁がひとつ違うような気もしますが、実際、それが可能だったということですよね。
マンマニ: そうですね。初めてマンションを購入したのは、社会人になって2年目、20歳の時でした。いまから10年ほど前のことですね。当時はいまほど金利が安くなかったんですが、実家から出て一人暮らしをするタイミングで、賃貸と分譲を比べた時に「どう考えても、分譲の方が得だな」と気づいたんです。月々の支払いを8~9万円ぐらいで考えていたんですが、8万円の家を借りるより、月々8万円の支払いで済む物件を購入したほうが、広い家に住めるな、と。
その時は実家に近い板橋区(東京都)、和光市(埼玉県)付近の物件を探していたんですが、グレード感のある賃貸マンションで月々8万円だと、どうしてもワンルーム、頑張って1LDKがいいところです。ところが、分譲なら月8~9万円の支払いで3LDKの部屋が手に入る。そういう状況でした。マンションの価格が、今より断然安かったということも幸いでしたが。
G: 当然、購入に際しては住宅ローンを組むわけですよね?
マンマニ: もちろんです。住宅ローンを組めば、年収の7倍から8倍のおカネ金を借りられます。20歳にして大金を借りることができるわけで、これは、サラリーマンの最高の特権です。
G: 会社に報告するとき、驚かれませんでしたか? 入社2年目の若造が、住宅を購入するわけですから。次の日から敬語で話しかけられる、みたいな…。
マンマニ: 上司や同僚からの「忠告」はありましたね。家なんていうものは、結婚するときに買うものだぞ、と。でも、私にとっては車を買う感覚ですから。「車なんていうものは、結婚するときに買うものだぞ」と言われているのと同じです。それで、約2800万円の新築物件を、月々9万円弱のローンで購入しました。3LDKです。
G: 普通なら、それでいっちょ上がり、ですよね。でも、マンマニさんはここでは止まらない。