憧れのスペインリーグで、僕はフィーゴから盾をもらったのだが…

安永聡太郎Vol.6
田崎 健太 プロフィール

10月8日、本拠地で行われた第1戦、リェイダは格上のサラゴサをあと一歩まで追い詰めた。終了間際、獲得したペナルティーキックをアントニオ・カルデロンが外してしまい、1対1の引き分けに終わったのだ。

カルデロンは昨年まで1部リーグでプレーしていた選手だった。所属していたラーヨ・バジェカーノが2部に降格、放出されたのだ。

安永は後半13分から交替出場している。

10月29日に行われた第2戦でリェイダは1対2と破れ、第2ラウンドに進出することはできなかった。この試合で安永は先発フル出場。サラゴサには、後にはバレンシア、インテルミラノでプレーするアルゼンチン代表のキリ・ゴンサレス、パラグアイ代表のディフェンダー、ロベルト“トーロ”アクーニャがいた。

このサラゴサ戦で安永は自分がスペインでやっていけるという自信がついたという。そして、1部リーグでプレーしてみたいと強く思うようになった。

安永のレンタル移籍期間は前半戦のみ、半年の予定だった。それがクラブの強い要望でさらに半年延長されることになった。

 

フィーゴから授与された盾

安永の記憶によると、後半戦が再開する前のある日、クラブの人間から呼ばれたという。

「いきなりバルセロナに行くから背広着て来いって。バルセロナまで飯を食いに行くのかな。それなのに背広を着なきゃいけないのは面倒だなと思っていた。

スペインに行ってしばらくはスペイン語を習っていたんですけれど、なんとなく分かるようになってからは止めていた。あの頃は聞いて話すというのが出来なかったから、まあついて行けばいいやと。背広なんか持って来ていませんからね。それで仕方がなく、背広を買ってバルセロナに向かった」

クラブの人間の後についていくとカメラを持った報道陣が集まっているのが見えた。

「(会場へ向かう直前に)表彰式だとは聞いていたんですが、盛大なパーティーだとは思わなかった。そして名前を呼ばれ、わけが分からないまま壇上に登ったんです」

安永の目の前に立っていたのは、当時、FCバルセロナに所属していたポルトガル代表のルイス・フィーゴだった。

「でかい」「(顔が)濃い」と安永は心の中で思わず叫んだ。

「フィーゴが賞のプレゼンターだったんですよ。フィーゴから盾みたいなのとシャンパンを貰った。それで何か一言ってマイクを向けられたんですけれど、“あー、あー”なんてしていたら、スペイン語が分からないと思われたみたいで、“もういい”って。

いまだにあれ、何の表彰だったのか分からない。今となってみれば、フィーゴと写真を撮っておけば良かったなぁ、なんて思いますけど」

安永は、ハハハと声を上げて笑った。

恐らく、2部リーグ前半の優秀選手の表彰であったのだろう。そしてこの表彰は思わぬ波紋を引き起こすことになる――。 

(つづく)

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/