「東大医学部卒」だからといって「ゴッドハンド名医」とは限らない

誰も「センスがないから辞めろ」と言えず
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検査好きの医者は要注意

では、どのような病院に行けば、下手でダメな医者を避けられるのだろうか。多くの患者は大学病院などの大きな施設なら安心と誤解しているが、大学病院の教授が必ずしも名医ではないということは前章でも見た通り。

加えて、大学病院はとしての側面をもつので要注意だ。麻酔科医の筒井冨美氏が語る。

「大学病院を始めとする大病院の多くは、臨床研修医指定病院でもあり、『医師免許取りたてのヒヨコ医者が修行する場所』でもあります。

さすがに研修医が難度の高い手術を任されることはありませんが、点滴がうまくいかず、三度も刺し直されて腕が腫れあがったというようなミスはわりとよくあります。

大学病院で医師を選べるのならば、年齢が35~50歳ぐらいの講師か准教授クラスがいちばん信頼できます。大病院ならば、その診療科のトップから2番目くらいの人が無難でしょう」

 

ダメな医者がいない病院選びの一つの基準になるのは、手術の件数だ。インターネットなどで検索すれば、たとえば消化器系の手術の件数が多く、その分野に強い病院なのかどうかくらいは確認できる。

「手術の件数は、病院の実力の一つの目安になります。ただし、大病院になると何人も医者がいて、そのうち手術の上手い先生が担当してくれるかどうかわからないという問題がある。一人の凄腕の医者がいて、そこに手術件数が集中している可能性があるのです。

しかも病院によっては、手術数を増やしたいがために不要な手術まで行うところもあるから要注意です。手が空いている医者がいれば、とりあえず手術予定を入れるという病院もあります」(関西の開業医)

典型的なのは群馬大学病院の例だ。腹腔鏡手術という新しい技術の手術数を増やしたいがために、技術的に未熟な医師が手術を行い、死亡事故が続発していた。東京の大学病院の外科医が語る。

「腹腔鏡手術は傷口が小さくて済み患者の回復も早く、予後がいい利点があるため、大腸がんや胃がんの手術でしばしば用いられる術式です。最近では腹腔鏡を専門にしていて、逆に手術の基本である開腹手術を苦手とする若い医者もいます。

しかし、摘出すべきがんが複数箇所に散らばっている場合など、腹腔鏡手術では難度が高くなる場合もある。新しい術式にこだわっている医者だと、開腹すべき状況でも正しい判断が下せず、結果的に手術に失敗することもあります」

最先端の手術法が受けられる――そう聞けば、患者やその家族は、命が助かる可能性が高まると誤解するだろう。しかし、新しい術式は必ずしも患者の寿命を延ばすことにはならない。

手術の巧拙を問わず、ダメな医者は患者の立場よりも病院経営ばかりを気にする。東海大学名誉教授の田島知郎氏が語る。

「いまや日本医療は銭勘定が優先されている。だから過剰診断が横行して、不必要なCTやMRIを撮って、金儲けばかりしている。そのくせ、本当に状態が悪い患者さんが来たら、手術が失敗して訴訟になるのを恐れて、他の病院に回してしまう」

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まさに「医は算術」なり。こんなダメ医者には、患者はカネを吐き出す「客」にしか見えていない。丁寧に検査をしてくれるからといって、その医者が患者想いだと誤解してはいけない。ダメ医者が見ているのは患者ではなく、上司の顔色や自らの出世なのだ。

「週刊現代」2017年5月20日号より