【日本人が犯人】カンボジア・人身売買事件の被害者が真相を明かした

「温泉で働くから、と母国を連れ出され…」
丸山 ゴンザレス プロフィール

助けてくれたのもまた、日本人だった

「プノンペンにあるラウンジで働いていたんだけど、あまり稼げなくて。そんなときに友達から外国で働きたい人を探している日本人がいるって教えられたの」

ジェイさんが働いていた店では売春のようなオプションはなく、店側からも客とのプライベートでの付き合いを推奨していたわけではない。本人も客の日本人とそういう関係になったことはないという。

こうした売春オプションのない店は、東南アジアでは意外と多い。というのも、お金さえ払えば誰でも女の子を連れ出せるような店だと、風俗店と同列に捉えられてしまい、意外と客がつかないからだ。そこで、女の子の連れ出しを禁止することで、店に通ってもらおうというキャバクラに似たシステムを導入したのが、彼女の働いているようなラウンジなのである。

そして、こうした店のオーナーは大抵が日本人で、客も日本人のことが多い。やはり日本人には、このような日本式のシステムを採用している店は使い勝手がいいのだろうと思う。

「フクイを紹介してくれたのは友達だったから、あんなことになるとは思わなかったの」

 

出国前に一度フクイに会い、そのまますぐに日本へと向かうことになった。この時点でフクイは就労ビザなどは一切手配しておらず、あくまで観光客として彼女たちを送り込んだことになる。

「日本に着いて群馬に連れて行かれたの。そこで飲み屋(スナックだったらしい)で働くように言われた。ほかにも女の子がいて、その子たちは“温泉で働く”って言われてどこかに連れて行かれたわ」

フクイたちは女性を2つのグループにわけた。その一方が、摘発された風俗店に連れて行かれたようだ。そしてジェイさんは、アパートの一室を寮として与えられてスナックで働き出した。しかし、日本語が堪能ではないことから初日から苦戦したという。

「ぜんぜんお客さんがつかなくて、その日終わってから店の人に『売上が悪いから明日から売春しろ』って言われたの。もうびっくりっていうより、怖くなってしまって。ここまで売春なんて言われたことはなかったし、もちろんやりたくなかった」

突然の展開に恐ろしくなった彼女は、プノンペンで働いていた店で知り合った日本人にフェイスブックのメッセンジャーで助けを求めた。相手は九州在住の実業家のM氏だという。

ジェイさんから助けを求められたM氏は、すぐにパスポートの有無を確認した。運よく彼女はパスポートを取り上げられていなかったため、M氏は有り金とパスポートだけを持ってタクシーに乗るように指示した。

後日、この件についてM氏にインタビューすると、

「この件が事件になるなんて思っておらず、後日報道を知って驚きました。でも、知り合いが厄介事に巻き込まれているのは間違いないと思ったので、私の方で地元の九州に来られるように飛行機やホテルを手配して、彼女が逃げられるようにプランニングしました」