政官財の愚かな圧力で、大学は想像以上にヤバいことになっている

なんのための大学か【前編】
石原 俊 プロフィール

私立大学にも火の手が

2017年に入ると、政府は私立大学のリストラにも本格的に動き出した。

政府の経済財政諮問会議は4月、安倍首相の指示を受け、少子化のあおりで経営状態が悪化した小規模な私立大学を、国立大学などの傘下に吸収合併させるか、大学経営から撤退させるためのスキームを整備するよう提言した。

さらに、同会議の財界出身メンバーは、私学助成補助金の支給について、教職員数や学生数に応じたこれまでの算出基準を改め、就職率が高い学校を優先するなど「大胆な傾斜配分」へと転換すべきだと主張した。

これまで研究者ら専門家による定期的な審査にゆだねてきた私立大学の教育・研究内容の評価について、政府・財界主導の関与・介入を強める方針を打ち出したわけだ。

いま大学は、政官財界から激しい“改革”圧力を受けている。

政府は21世紀に入ると、財界の強い要請を受けて知的財産基本法を制定し、大学における研究活動・教育活動を、特許の取得など収益性の高い「付加価値の創出」にふり向けること、あるいは政財界の意に沿う「人材育成」にふり向けることを、国家戦略として明示している。

ここまで述べてきたような大学をめぐる昨今の激しい動きは、政官財界がそうした国家戦略に沿った「改革」を、各大学に迫ってきた結果なのである。

 

学長や理事長の独裁が始まった

そして、そうしたプロセスの“総仕上げ”と言えるのが、憲法学者たちから強い違憲性を指摘されながらも強行された、学校教育法と国立大学法人法の改定だった。

2015年4月に導入された新法によって、大学教員の採用・昇進に関する同僚教員集団(教授会)の専門的審査の権限ばかりか、大学教員が教育・研究内容を自ら決定する権利さえも、学長や執行部の判断で剥奪できるようになってしまった。

実際、一分野の専門家にすぎない学長が、学内の全教員の採用や昇進を独裁的に差配するようになった大学や、学長や執行部が学科・専攻のリストラを強行し、一部の教育研究分野を一方的に廃止してしまうような大学が、国公立を中心に出てきている。

中〜小規模な私立大学では、法改定に便乗した内規の変更によって、研究者出身ではない理事長が独裁的な執行権を掌握し、教員を別の学部・学科に一方的に配置転換したり、教員にまったく専門外の分野を教えるよう強制したりする事例が頻発している。

もはやこの国では、憲法が保障する「学問の自由」の最低ラインさえ守られない大学が続出しているのである。