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外科医の新婚旅行はシングルモルトの蒸留所巡りだった

タリスカー・ゴールデンアワー第2回(前編)

シマジ: スコットランドではどちらの蒸留所に行かれましたか?

松木: ぼくが最初に行ったのはアイラ島でした。ウイスキー評論家の土屋守さんが主宰するスコッチ文化研究所(現・ウイスキー文化研究所)の研修団体旅行に参加したんです。しかも新婚旅行を兼ねて。

シマジ: ということは、奥さんもシングルモルトがお好きなんですか?

松木: それが、妻はお酒がまったく飲めないのに、蒸留所巡りに参加してくれたんですよ。

ボブ: 愛は偉大なりですね。

松木: ただ、新婚旅行だというのにアイラ島ではついにダブルベッドに寝られなかったですね。

シマジ: あの辺はB&Bしかないものね。

松木: 何ヵ所かちゃんとしたホテルもあるんですが、そういうところは1年前から予約でいっぱいらしいです。

シマジ: しかしお酒が一滴も飲めない奥さんにとって、蒸留所巡りはキツかったでしょうね。

松木: でも、そのお蔭で、行く先々で2杯ずつ飲めました。いただいたドラムは全部ぼくが飲みましたから。

シマジ: その時はラガヴーリンにも行かれたんですか?

松木: はい、行きました。実は去年も行ってきまして、蒸留所の創業200周年記念としてアイラフェスティバル向けにリリースされた18年ものを飲んだのですが、これが感動的に美味しかったです。日本に戻ってから、同じく記念ボトルの8年、12年を飲ませてもらいましたが、若いのになかなかの完成度でした。

シマジ: 8年と12年はわたしも飲みましたが、けっこうイケますよね。ところで、ボブ、どうしてラガヴーリンは16年ものより12年ものの方が高いんですか?

ボブ: ラガヴーリンはオイリーなキャラクターが強いので、16年熟成させないと、ちょっと硫黄っぽい感じとか、未熟な部分がなかなか減らないんですが、樽によって、たまに12年でもちょうどいいものが出来るんですよ。ただやっぱりそれはレアなものですから少し値段が高くなるんです。

ヒノ: 季節はいつごろで、何日くらいの新婚旅行だったんですか?

松木: 7泊9日の日程で、シーズンは5月でした。でもスコットランドはまだかなり寒かったですね。

ヒノ: お酒は飲めないのに蒸留所ばっかり連れていかれるし、寒いし、奥さんにとってはずいぶん過酷な新婚旅行でしたね。普通なら成田離婚ものですよ。

松木: そうかもしれませんね。でもうちの妻は、女性としては、かなり寛容な部類なんです(笑)。

シマジ: 素晴らしいですね。男にとっての理想の女房は「明るくノンキで上機嫌」です。さらに欲を言えば、「旦那に無関心」ですかね。

松木: うちはかなりそれに近いです(笑)。

シマジ: 素晴らしい。松木さんは幸せな方です。

松木: ただ三田病院に赴任してからはとても忙しい毎日で、もうスコットランドには行けないかなと思っていたんですが、去年、今までよく頑張ったということで1週間の休暇をもらえることになりまして、それで再びスコットランドの蒸留所巡りに行けることになったんです。

シマジ: そのときも奥さんも一緒に行かれたんですか?

松木: いちおう「行く?」と訊いてみたら、「行かない」と言われました(笑)。

一同: アッハッハッハ。

松木: タリスカーのスパイシーハイボールはホントに美味しいですね。お代わりをいただいてもいいですか。

ボブ: もちろんです。

〈⇒後編

松木崇(まつき・たかし)
1980年生まれ。頭頸部外科医。ウイスキー専門誌『Whisky Galore』のテイスターを務める。学生時代にウイスキーの虜となり、2007年の第1回ウイスキープロフェッショナル試験に合格。2012年よりブログ「ストイックなドリンカーの日々」で自身のテイスティング記事を2000本以上公開。現在まで5000種類以上のモルトウイスキーのテイスティング経験があり、樽選定や品評会などにも携わる。
 
島地勝彦(しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。柴田錬三郎、今東光、開高健などの人生相談を担当し、週刊プレイボーイを100万部雑誌に育て上げた名物編集長として知られる。広告担当取締役、集英社インターナショナル代表取締役を経て、2008年11月退任。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。 『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ』(いずれも講談社)、『バーカウンターは人生の勉強机である』『蘇生版 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負』(CCCメディアハウス)、『お洒落極道』(小学館)など著書多数。
ロバート・ストックウェル(通称ボブ)
MHDシングルモルト アンバサダー/ウイスキー文化研究所認定ウィスキーエキスパート。約10年間にわたりディアジオ社、グレンモーレンジィ社、他社にて、醸造から蒸留、熟成、比較テイスティングなど、シングルモルトの製法の全てを取得したスペシャリスト。4ヵ所のモルトウイスキー蒸留所で働いた経験を活かし、日本全国でシングルモルトの魅力を面白く、分かりやすく解説するセミナーを実施して活躍しています。