世の中には500万円で買える会社がこんなにあった!

500万円で優良企業の社長になる方法【後編】
三戸 政和 プロフィール

決して難しい仕事ではない

なぜ私が「会社の購入」をお勧めするかといえば、読者のみなさんのなかには、中小企業経営に必要十分な知識と経験がある人が大勢いるからです。

ある程度の規模の企業で中間管理職を勤めた人であれば、自分がいた業界で、従業員が15人から30人ほどの会社であればマネジメントできるでしょう。事実、それぐらいの人数を部下として従えて、十数年間働いてきたのですから。ノウハウや経験は十分にあるのです。

何よりも大きなメリットは、今、経営が成り立っている会社を、設備も、顧客も、従業員も、仕入れ先も、取引銀行も、そのまま引き継ぐことができる点です。

きちんと利益が出ている会社であれば、とりあえずは、今のままの業績を保つことができればいいわけです。マネージャー経験のある人にとって、決して難しい仕事ではありません。それから会社をよく見て、よくないと思える部分に改善の手を入れていけばいいのです。

それに、実は中小企業は業務改善によって利益率を上げやすい。大企業にいた人にとっては“当たり前”の管理ができていない企業が少なくないからです。商品ごとの利益管理や在庫管理、従業員の労務管理等が“甘い”会社は多いです。

例えば、昔からの取引関係を相見積もりも取らずそのまま続けていたり、販売に力を入れれば入れるほど赤字になる商品を何の疑問も持たずに一生懸命売っていたり、年に数個出るか出ないかの在庫を大量に持っている、などです。

 

こうした会社は、前の会社で使っていた管理システムを入れて業務を効率化する、仕入れ先と交渉して原価を下げる、IT管理を導入する、新規営業をするなど、大企業がやっている“普通のこと”をするだけで、業績が大きく改善する中小企業が多いのです。

ポテンシャルは高いのに、経営のやり方が良くないために、業績が悪い中小企業は少なくありません。PE(プライベート・エクイティ)ファンドが狙うのはこうした会社です。

事業そのものは良いが、経営のやり方を間違えているために、多少赤字になっているような会社を安価で買収する。簡単なテコ入れをして黒字化させ、売り先を見つければ、会社の価値は5倍にも10倍にも跳ね上がる可能性があるのです。

そういう方法があるのだ、ということを、まずは知ってください。

老後の収入に二つのメリット

さてここから、老後の「資産形成」という観点で、お金のことを考えてみましょう。会社を買うことで、あなたの老後の収入に、大きく2つのメリットが生まれます。

1つ目は、役員報酬です。たとえば60歳から70歳までの10年間、会社を経営し、手取り1000万円の役員報酬をきちんと貰っていれば、収入の総額は1億円になります。それで100年時代の余生に必要な、月々20万円×40年間分のお金が得られるのです。

もちろん会社の業績が良ければ、役員報酬はもっと高くてもいいでしょうし、接待交際費など会社に経費もつけることができ、税務メリットも享受できます。

2つ目は、エグジット(会社売却)によって出る利益です。会社の評価額の算定方法はさまざまですが、中小企業のM&Aでは、「純資産(資産と負債の差額)+営業利益の3~5倍」程度で算出するのが一般的です。純資産も営業利益も横這いであれば売買益は出ませんが、業務改善によって営業利益が増えれば、評価が上がり、投資額の何倍もの利益を得ることが可能になります。

ごく単純化して話しますと、例えば純資産がほぼゼロで、経常利益が500万円の会社を1500万円で買ったとします。業務改善をし、経常利益を2000万円に上げることができれば、売却価格は6000万円になり、4500万円の利益が出ます。

一定の利益が出ている会社を、借入れを組み合わせて購入すると、売買益はより大きくなります。毎年の利益から借入れを返していけるからです。

もう少し規模の大きな話をしましょう。例えば、最終利益が1億円出ている会社を、1億円を自己資金で、4億円を銀行から借入れて、5億円で購入したとします。この会社を4年間経営した後、売却したとしましょう。業績が完全に横這いであれば、売却額は同じ5億円です。

しかし銀行から借り入れた4億円は、毎年の1億円の利益で利息を含めて返してしまっているため、売れた5億円はすべて自分の懐に入ります。4年間、横這いの経営をしていただけで、1億円が5億円に化けるのです。もし最終利益を1.5倍にすることができれば、1億円が7.5億円になります。

これは投資ファンドが得意とする、レバレッジド・バイ・アウト(LBO)という手法です。

さてここまで、会社売買の「いい話」ばかりしてきましたが、「もし経営に失敗してしまったら…」という恐怖心があるのではないでしょうか。