憲法9条の「本当の意味」をそろそろ直視しませんか?

解釈タブーとロマン主義を超えて
篠田 英朗 プロフィール

目的は日本を平和国家に作り替えること

日本は他国を侵略して泥沼の戦争に陥り、その結果、悲惨な結果を国内外にもたらした。したがって憲法がまず目指すのは、日本を二度と侵略戦争をしない国に作り替えることである。

21世紀の現代において、紛争後国で平和構築活動を行う際、二度と紛争が再発しない社会を作っていくための作業として、法体系の刷新を図ることが多い。日本国憲法の視点は、それと同じだ。

日本が世界最先端のすごい国だから9条がある、のではない。侵略戦争を起こした国家なので、二度と侵略行為を働かない縛りをきかせるため、9条がある。禁じられているのは、侵略戦争である。

これは修辞的な推論ではない。史実である。

 

日本を軍事的に駆逐し、占領したアメリカ合衆国は、極めて明快な占領目的を持っていた。一言でいえば、日本を平和国家に作り替える、という目的である。

つまり、太平洋の反対側に位置するアメリカも含めた周辺諸国を二度と侵略しない国、と定義される「平和国家」に、日本を作り替えることが目的であった。それは、アメリカにとって、徹底的に戦い抜いた戦争の一つの大きな目的であった。

1944年3月14日に成立していた「米国の対日戦後目的」と題された米国政府内の文書は、次のように定めていた。

「太平洋地域における平和と安全の条件を高めるため、諸国民の家族のなかでの、完全にして平等なる一員として、友好的な日本を復興することが、米国の終局的な目的である。」

この「終局的目的」にそった「軍事的目的」は、「日本が米国および他の太平洋諸国に対する脅威となることを阻止する」ことであった。

そして「この目的達成のため、武装解除、軍事的監視、経済活動の統制、および連合国が安全保障のため不可欠とみなす特定産業の長期的制限、などの措置をとる」ことが定められた。

大日本帝国軍の解体だけでなく、内務省廃止、地方分権、民主化政策、財閥解体や農地解放に至るまで、すべての占領政策は、日本を平和国家に作り替える、という目的にしたがって導入された。

「平和の維持を望む文民によって支配される政府」を作り、「日本の穏健派政治勢力を強化する措置をとること」が、占領目的達成のための有効な手段だとみなされたため、軍国主義に親和性が高い軍、特高、財閥、地主などの勢力基盤の解体が図られたのである。

憲法9条で戦力不保持が謳われたのは、非武装国家に作り替えていくことが、日本の平和国家化の近道だと考えられたからにほかならない。

1941年に米英首脳が公表した「大西洋憲章」は、日本のような「敵国」を、「一般的安全保障制度」の下で封じ込めていくことを模索しつつ、まずは「武装解除」することが不可欠だと宣言していた。

これに対応した措置が、憲法9条である。