「補強」なしでも強い!強い!広島カープに学ぶ「貧乏は大切なこと」

金満の巨人・ソフトバンクでは起きない現象
週刊現代 プロフィール

コーチ経験もある巨人OBは「あのチームづくりは絶対に巨人には真似出来ない」と言う。

「正直、『4番が欲しい』、『スラッガーが欲しい』、『打てる外人なら何人でも欲しい』と、その場しのぎで必要な選手を外から『強奪』してきたウチは育てる必要がないから、スカウトの目もすっかり鈍っている。

去年全試合に出場した村田がいるのに、こともあろうにマギーを獲得してきたあたり、広澤や清原、江藤を獲得し、戦力をダブつかせていた時代と何も変わっていません」

「貧乏」イメージがすっかり定着しているが、いまの広島球団はかつてと違い、決して儲かっていないわけではない。

'09年にマツダスタジアムが完成して以降、球場運営が上手くいき、座席も増設。昨年は球団史上最高の215万人もの観客を動員しているのだ。

貧乏だから、工夫する

「代名詞である『カープ坊や』などを活用したグッズの販売も好調で、広島ももはや『貧乏球団』ではない。それでも、ファンからの『樽募金』に支えられて運営していた昔のことを忘れず、ムダ遣いは極力避けて、選手とファンに還元する。『貧乏だった時代の教訓』は決して失われていないのです」(前出・スポーツ紙記者)

では、広島のスカウトの「目利き力」とは一体どのようなもので、どこが他球団と違うのか。

スポーツジャーナリストの二宮清純氏が言う。

「近年の広島は、地元出身の選手にこだわらず、即戦力になる選手を全国から見極める方針を徹底している。

おかげで、加藤にしろ岡田にしろ、1年目、2年目でいきなり活躍できるだけの能力を持った選手を獲得できている。育てなくても、いきなり一軍で試合に出しても結果を残せる能力とメンタルを兼ね備えた選手を厳選しているわけです。

昨オフのドラフトでも、田中正義(現ソフトバンク)、佐々木千隼(現ロッテ)といった超目玉を1位で獲りに行き、クジは外したものの、次の『外れの外れの1位』もブレずに六大学で26勝の加藤を指名した。明確な方針のもと、個々のスカウトの『眼力』を信頼し、選手を獲りに行くのです」

 

貧乏だからこそ、自力で「金の卵」を発掘しなくてはいけない。12球団でも有数の「腕利き揃い」と言われるカープスカウトたちは、日々全国を飛び回り、目を光らせている。とりわけ、スペシャリストとして球界に名を轟かせるのが、松本有史スカウトだ。

「東海地区を担当している松本氏は、中京学院大学の無名選手だった菊池を発掘。さらに、自身の母校である亜細亜大学にも太いパイプを持つ。今年活躍している九里や薮田も、亜大時代から松本氏が目をつけてきた選手です。

薮田にいたっては、大学時代にケガでほとんど登板機会がなかったにもかかわらず、力のある直球に目をつけ、ケガが治っていることを確認したうえで、2位指名を強行した。

そうやって、一度惚れた選手がいると、練習や試合に通いつめて緻密に情報を集め首脳陣の前でプレゼンする。とりわけ、菊池の場合は、華麗な守備に惚れ込み『活躍しなかったら私が責任を取ります』とまで断言し、獲得を直訴したそうです」(前出・スポーツ紙記者)