「正社員」が危ない!高拘束、賃下げ、使い捨て…安心はどこへ?

ザマアミロと言っている場合ではない
竹信 三恵子 プロフィール

子育てや家庭生活には、1日の労働時間規制がカギになるが、これでは正社員の「無限定労働」性は、むしろ強化され、一連の「質としての正社員消滅」作戦の総仕上げにもなりかねない。

加えて、一定の社員を労基法の労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」や裁量労働制の拡大も国会に提案されている。

正社員は労働権の「最後の砦」

ネット上などでは、「しょせん高拘束の奴隷労働である正社員の消滅は、むしろいいこと」といった言説が見受けられる。

だが、正社員は無期雇用や生活できる賃金、労使交渉権など、国際基準の労働権を一応は保障された労働権の最後の砦だ。正社員消滅の次に来るのは、「労働権のある働き方」モデルそのものの喪失と、それによる非正規の労働条件のさらなる劣悪化だろう。

いま必要なのは、正社員の消滅に喝采を送ることではない。正社員がかろうじて保持している労働権を、非正規として押し出されてしまった働き手たちにも回復させ、それを通じて、正社員も奴隷労働から解放する運動だ。

そのためには、労組などの働き手のネットワークを再構築し、「働き方改革」の名の下に今起きていることについて働く人たちが情報を共有し、質としての正社員消滅に備えること、そうして共有した知識をもとに、会社や政府と交渉していく力を働き手が回復することが必要である。