ニトリ会長が明かす、30期連続増収増益「一人勝ち」の極意

私は社員に反対されたものほど、やる…
週刊現代 プロフィール

不況のときこそチャンス

この30年間の社会や消費の変遷を見ていると、かつては大衆がいて、そこをめがけて商売をしていればよかったのが、いまは二極化がどんどん進んでいる。

しかも、私は今後の日本経済はより厳しくなっていくと思っています。特に2020年の東京オリンピックの前年、'19年くらいからは建築工事をはじめとしてモノが停滞する時期に入ってくるし、消費税増税もあるので、不況になっていくでしょう。

 

実はね、私はその時を待っているんです。現在は投資をしようにも、建築費が過去数年の2倍、3倍となっていて、コストがとにかく高い。でも、不況になってくると、これが3割とか5割とか下がってくるから、そこがチャンス。景気がいい時はあまり投資しないで、景気が悪くなると投資する。いつも、みんなとは逆を行くわけです。

ちなみに、私は毎年テレビ番組で為替予想をして、3年連続で当たっているんです。

うちは1円円安になると営業利益が15億円減りますが、私の予測に基づいて為替予約取引をやり、何百億円という為替差損を回避できています。今年は年末に1ドル=95~105円くらいの円高になるでしょうから、そこで為替予約をしようと思っています。

予測を的中させるコツは、「自分をゼロにすること」ですよ。アナリストや経済のプロを名乗る人たちって、自分がこうなって欲しいと思う数値を出したり、過去の経験から考えてしまうから外れるんです。

そうではなくて、素直に社会に目を向け、いまなにが起きているかを把握すれば、自然と見えてくる。これは経営も同じで、「自分の都合で判断しない」のが大事。うちの社員にも「自分をゼロにしろ!」と言っているんですが、これはなかなかできる人間が出てきませんね。

Photo by iStock

次の目標は、40期連続の増収増益は達成したいですが、以前から掲げているのは2032年に3000店舗です。

なんとしてでもこの目標を達成したいので、私は車のナンバーを「品川3000」にしました。自宅の寝室の天井やトイレにもこの数字を貼って、いつも意識していますよ。ロマンを持って、目標を定めたら、あとは勇気と執念を持ってそれを実現していく。それが経営者の仕事ですから、できることはなんでもやります。

ただ、このままだと国内の店舗拡大にもあと4~5年で限界が来ると思うので、海外に出ていくことと、会社としては新しい事業を始める必要もある。

すでに「アパレル事業に進出」ともメディアで報じられていますが、そもそも私は事業が軌道に乗ると、それに興味がなくなってしまう。マンネリで、全然仕事をやってる気にならないというか、楽しくないんです。

それよりも、「いままでに無いもの」や「不可能」と言われる分野に入って行き、その分野の人ができないようなものを作り上げる。私がしたいのは、そんな革命であり、アドベンチャー。そういう意味で、アパレルもチャンスがあればやってみたい。

とはいえ、まずは本業でやることがまだまだあります。私は今年73歳ですが、新商品のアイデアを思いつくと、自分でアジアの工場に行って、指示を出して商品を作っています。

CEO(最高経営責任者)なのに、いまだに商品企画本部長みたいなものです。社員からは嫌がられているかもしれませんが、とにかく商品を作るのが大好きなので、これからもやっていきたいですね。

「週刊現代」2017年5月6日・13日合併号より