我が子を「居所不明児童」にした鬼畜母の所業

止まらない「負の連鎖」
石井 光太 プロフィール

居所不明児童の親たちの共通点

私がBabyぽけっとの寮で知恵に会ったのは、まさにこの頃だった。

知恵は第2子の出産まであと数日と迫っていてたものの、市職員からの面会を受けて厳重に注意を受けていた。だが、本人はいたって他人事のようだった。私が何を尋ねても、力のない声でこう答えるだけなのだ。

「娘のことは大好きですよー。でも、自分でもどうしていいかわかりません。(二度目の出産が終わったら)一緒に暮らしたいです。お金はまったくありませんけど」

口を付くのは、すべてその場限りの答えでしかなく、将来を見据えての発言とは到底思えなかった。

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岡田は、知恵についてこう語った。

「父親の虐待を受けてああいう性格になったんだと思います。だって、自分自身の考えというのがまるでないでしょ。だから、何をするにしてもその場しのぎなんです。結局、その性格が娘へのネグレクトにつながってしまう。

とはいえ、娘が生きてくれていただけ、よかったですよ。もし体の弱い娘だったり、2度目の妊娠をしていなかったりしたら、すでに死んでしまっていた可能性だって十分にあったわけですから」

私は『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』の中で、知恵はじめ、居所不明児童の親たちを3代までさかのぼって生い立ちを見てきた。

そこで共通していたのは、親たちが幼少期に虐待など不健全な家庭で育ったことで、「コミュニケーション不全」「感情の欠如」「何もかも受け入れてしまう極度の受動的な性格」などの特質を持つようになったことだ。

そういう人間が子供をつくり、親となった時に、養育の仕方がわからず、ネグレクトをしてしまう。それが、「居所不明児童」を生み出すのである。

 

岡田は語る。

「こうした子供をつくらないようにするには、子供を支援するだけでは十分ではないんです。子供を持っても親になることができない親を、社会としていかに支えていくかという視点が欠かせない。だから、私たちは特別養子縁組の支援をしながら、同時に母親の支援も行っているんです」

私が『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』で描いた親たちは、一様に「親になれない親」たちだ。しかし、そういう大人もまた子供を産む。

ならば、その親ごと支える仕組みが必要になる。それがなければ、犠牲になるのは、一番弱い子供たちなのだ。

「親子愛」という粉飾が家族を追い詰める