震災で移転・閉校を余儀なくされた全寮制男子校の笑いと涙の青春

梅佳代『ナスカイ』サイドストーリー
現代ビジネス編集部

男子の中高6年間は「キラキラ期間」

「(全寮制中高一貫校だから)中学生から成長過程が見られたところが面白くって。私たちはもう成長しきっている、それはさよならに向けて、死に向けて、老いてく途中じゃないですか。でもこの子たちの成長真っ只中、中高6年間の『キラキラ期間』を目撃してしまって、それがすごく面白いと思った」(梅さん)

生徒たちの反応は、思いのほか冷静だった。「別に写してもいいけど」「先生に言われたから構ってやるか」といった感じで受け入れる。食ってかかってくることもない。思春期真っ只中だから、「ツンデレ」な生徒もいなくはないが、共学校と違い異性の目がないからか、変な照れがないし、カメラの前から逃げない。写真に写った彼らは皆、まっすぐな眼差しでカメラを見つめている。

「(全寮制の男子校って)和気あいあい、漫画の世界みたい、ちょっとだけ。でもBLな気持ちで見てないですよ。なんかちょっと特別な感じというか、私が女っていうのもあって見たことないからなんですけど。この学校、勉強できるからかな? みんなすっごい凛々しくて、ちょっと大人っぽいのがかっこいい。全寮制だからっていうのも関係あるかもしれない。

梅佳代photo by Kayo Ume

でも基本的にやっぱり子供なんですよ。だから会うたんびに、まあ男の子だからっていうのもあるんですけど、『あれ? 初めて会った?』みたいな、もう1回人間関係やり直し、っていう子もいるんですよ。男の子って小5くらいから思春期突入なんですけど、『この子すごい思春期なんだなー』っていうのが私たちにバレバレなのに気づいてなくて、そこがまた思春期真っ只中だなーって」(梅さん)

梅さんは顔がちっちゃくて、モデル体型で、おしゃれで天真爛漫。「『たまに来る謎の女、でもちょっと有名らしい』って思われてたと思う」(梅さん)。でも撮影の時は「結構グイグイ来たよね。ナスカイ生に引けを取らない(笑)」(北村さん・栗林さん)。そんな彼女の訪問に、ナスカイ生たちは平静を装いながらも、少なからず影響を受けていたのではないだろうか。

 

多摩にキャンパスを移転して約7ヵ月後の2012年11月、ナスカイは閉校を発表した。その年、新入生が入学せず、来年の募集要項も出ていなかったので「まあ感づいていたよね」(北村さん)。那須の校舎は復旧の目処が立たず、福島第一原発事故の風評被害もあり、戻ることは不可能だった。

 「僕らのいる間は無理でも、10年20年先くらいならまたリバイバルするかもな」、とは思ってたから、ショックはショックでしたね。それはすごく覚えてます。

 「ああダメなのか」と。かすかに持ってた希望が消えた。

 実は僕はその発表があった夜、1人で那須の弔いをして。今日はもう受験勉強しなくていいやって(笑)。

 言い訳だろただの!(笑)うちらの代で、「卒業式を那須でやりたい」っていう提案をしたんだけど、許可が下りなくて。「那須の他の会場を借りるのでもいいからやりたい」っていう話を出して、ホームルームで案まとめて、でもダメで。結構那須に思い入れは強かった。

 4年間24時間いたし。あと震災起きてからみんな何が起きたのか訳がわかってないと思う。日ごとに場所が変わってたから、校舎も変わるし居場所も変わるし。だからやっぱり一番落ち着いて記憶に残ってるのが那須だった。