盟友バノンを切ったトランプは「白人労働者」をも裏切るのか?

最大支持層「オルタライト」への逆心
中岡 望 プロフィール

もしバノンが政権を去ったならば

トランプ大統領はプラグマチストである。役に立たないと判断したり、用済みになれば、誰でも容赦なく切り捨てるだろう。バノンの去就はどうなるのだろうか。いくつかのメディアは、バノンは「国家安全保障委員会のメンバーから自分を外すのなら辞任する」と脅したと伝えている。

ただ、彼の側近は、そうした事実を否定している。またバノンは首席戦略官を「自分から辞めるつもりはない」と語っている。だが、仮にホワイトハウスに留まっても、存在感が希薄になるのは避けられないだろう。大統領の信任を失うことはすべての権力を失うことを意味するからだ。

もしバノンがホワイトハウスを去ったら、トランプ政権にどのような影響を及ぼすだろうか。

『アトランティック』誌は「そうとうな反発を招く可能性がある。彼がまだホワイトハウスにいるにもかかわらず、トランプの最も熱心な支持者の一部は、シリア政策、中国政策などでのトランプの変節に反発を強めている」と書いている。

ある論者は「スティーブはホワイトハウスでトランプ革命の火を燃え続けさせるシンボルであった。スティーブが去り、ホワイトハウスが『民主党支持者』によって運営されるようになれば、すべてのトーク・ラジオや保守的なメディアはヒステリーを起こすだろう」と語っている。

方向転換が鮮明になれば、激しいクリントン候補批判で成功した『ブライトバート・ニュース』を筆頭とするオルタライトのメディアは、今度はトランプ政権に厳しい目を向け始めることは間違いない。

 

政治専門サイトの『ポリティコ』は、「トランプの真の支持者はトランプに対する信頼を失いつつある。トランプの最も忠誠な支持者は大統領の方向転換に次第に失望しつつある」と書いている。そうした多くの支持者は共通して、「トランプ候補」と「トランプ大統領」は別人物であると指摘している。

ドナルド・トランプドナルド・トランプ photo by Getty Images

トランプ大統領の支持率の低迷は続いているが、まだ共和党支持者の間では依然として高い支持率を維持している。トランプ大統領はオルタライトと決別し、政策転換を進め、伝統的な共和党や保守主義者の支持を得ようとするかもしれない。それは選挙公約を破棄することを意味する。

共和党主流派の政策は、白人労働者を切り捨てる政策であった。白人労働者の代弁者であることで選挙で勝利したトランプ大統領は、このことを支持基盤に対してどう説明するのだろうか。