「働き方改革」に騙されるな! 残業は「合理的」だからなくならない

問題の本質的な解決のためにすべきこと
常見 陽平 プロフィール

サビ残誘発社会を超えて

このように、「働き方改革」には欺瞞に満ちた点、明らかに戦略的にミスリードを行っている部分があることを、我々は意識しておくべきだ。

長時間労働の是正については、規制強化には賛成ではあるものの、慎重に議論し、段階的に進めなくてはますますサービス残業が誘発されてしまうという問題に、何度でも警鐘を鳴らしたい。

問題の本質的な解決のためには、仕事の絶対量、任せ方の改善に踏み込まなくてはならない。単なる改善を改革と呼んではいけない。

 

先人たちの議論と試行錯誤の積み重ねに対しても敬意を払い、検討を進めなくてはならない。「日本は労働生産性が低い」という言いっぱなしも看過することはできない。企業や労働者に丸投げされ、悪者扱いされる状態を許してはならないのである。問題を孕んだ事例がベスト・プラクティスとして紹介されている状態も看過してはならない。

何よりも、豊かな国とは何か、それをどう実現するのか、というビジョンが必要である。働き方改革は万能の杖でもない。気づけば、息苦しく、働きづらい社会を皆で作り上げてしまっていたということにならないか。

働き方改革はまだ終わりではない。始まったばかりだ。このような問題意識を我々は自分事として捉え、発信し続けるべきなのだ。