「朝鮮半島有事」が不動産市場に巻き起こす中国人「爆売り」の脅威

来たるべき北朝鮮の核実験に備える
榊 淳司 プロフィール

中国人はいっせいに動く

親の代からお金持ちである日本人の富裕層は、荒涼とした埋立地は好まない。静寂な高台の住宅地を好む。東京で言うなら赤坂や高輪、代々木上原や松濤だ。築地市場の移転問題で話題となっている豊洲にはタワーマンションが林立するが、その住人は東京以外の出身者が多く、IT分野などで活躍している人が多い。

そんななかに、中華系の外国人も多く混じっている。彼らは日本人とは異なった不動産の取引感覚を持っている。それは「いっせいに動く」というものだ。

 

東日本大震災のとき、液状化して著しく生活が不便になった新浦安の住民は、自分の住宅を一斉に売却しようとは考えなかった。ガマンをして住み続けた人が大半だ。だから暴落という現象は起きなかった、ということを先に説明した。

一方、東京に住んでいた中国人の大半は、片道30万円の航空券を買ってでも自国に帰って行った。湾岸のタワーマンションの購入契約をしていたにもかかわらず、1000万円前後という決して安くない手付金を放棄して、解約した。

「爆売り」のリスクを念頭に

6年前、東京の不動産市場に占める中国人のプレゼンスは、現在の50分の1、あるいは100分の1ではなかったか。

それがその後の爆買いによって、不動産市場におけるプレゼンスは飛躍的に高まった。いまや新築のタワーマンション市場では、彼らが欠かせない需要層になっている。とくに、荒漠とした埋立地で新築タワーマンションを販売する場合、彼らは需要層の準主役になりつつあると言っていい状況だ。

中国人観光客による爆買いの光景ツアーバスで押しかけた中国人観光客の「爆買い」が話題に photo by gettyimages

ここ30年ほど、日本の不動産市場では平成バブルの前後を除くと、価格の急激な変化が起こることはほとんどなかった。しかし、いまはプレイヤーの構成が違う。

朝鮮半島で何かの異変が起こったとき、爆買いの主人公たちはどう行動するのか? いっせいに売却に走った場合、いままでの常識を覆す事態が起きるかもしれない。最悪、「爆売り」が発生する可能性、そしてそれが不動産市場に予想もしない影響をもたらす可能性を、視野に入れておくべきだろう。

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