「朝鮮半島有事」が不動産市場に巻き起こす中国人「爆売り」の脅威

来たるべき北朝鮮の核実験に備える
榊 淳司 プロフィール

マンション市場は「暴落」しないが……

あのとき、不動産市場はどうなったのか?

ご存知のように、株式市場は一時的に暴落した。軌を一にするように、液状化した新浦安や東京湾岸エリアのマンションの市場価格も暴落したのだろうか?

実は、可視的に価格が暴落することはなかった。というのも、東日本大震災のような甚大な被害をもたらすような災害のあとには、不動産市場が一時的に機能しなくなる。つまりは、取引件数が激減し、目に見える取引はほとんど発生しなくなるのだ。これは市場価格の暴落とは異なる現象だ。

たとえば、新築マンションの販売は軒並み延期される。とくに、湾岸エリアで販売開始が予定されていた新築マンションは、そのほとんどが延期となった。その期間はおよそ半年から1年。着工が延期されたものもある。

大震災による浦安の液状化現象の様子液状化現象のためボロボロになった浦安市内 photo by gettyimages

液状化が激しかった新浦安の中古マンションも、目に見えて価格が下がるということはなかった。もちろん、あのとき新浦安エリアで中古マンションを売り出しても、買い手はほとんどいなかっただろうから、水面下では一時的に(価値が)暴落していたと言えるのかもしれない。

しかし、だからといって実際に投げ売りをした人は多くない。また、投げ売りをした人がいたとして、それを買ったのは仲介業者だったはずである。なぜなら、あの騒ぎが落ち着いたあとに、市場価格がある程度回復することは十分に見込めたからだ。そして、実際にその通りになった。

「爆買い」対象のタワマンに注意

仮に朝鮮半島で軍事的な衝突が生じたとしても、こうして東日本大震災の経験に則して考えてみると、日本の不動産市場に大暴落のような事態が生ずるとは考えにくい。もちろん、東京や大阪、名古屋などの大都市に核や化学兵器などを搭載したミサイルが撃ち込まれた場合、話は全然別である。そうなれば不動産の売買どころではなく、生きるか死ぬかの問題になってしまう。

ただし、「ある変化」には注意しておきたい。それは、不動産市場におけるプレイヤーの構成が、震災の起きた6年前とはやや異なっていることだ。

いまやすっかり影を潜めた「爆買い」を思い出していただきたい。2015年から翌16年にかけて、日本にやってきた中国人が買っていたのは、電化製品や衛生・医療用品、衣類の類だけではない。東京では多くの新築マンションが中国人に買われた。とくに、湾岸エリアのタワーマンションの多くが、中国人に買われた。

 

大手不動産会社では、新築マンションの購入者に占める外国人比率を2割以下にする、という暗黙のルールがあると聞く。しかし、そのルールが守られているとは思えない。

2014年から翌年にかけて販売されていたとある湾岸エリアのタワーマンションは、私が見るかぎり、とても日本の富裕層に好まれるとは思えない物件だった。にもかかわらず、富裕層向けの価格設定で竣工までに完売した。あとで聞けば、中国本土に担当者が出向いて販売していたという。

そういうマンションの外国人比率が、暗黙のルール通り2割以下に抑えられているとは、どうしても考えられないのだ。