屈辱のオリックスナイン「宮内オーナーのひと言」が闘志に火をつけた

「言われっぱなしじゃ終われない」
週刊現代 プロフィール

野球が変わった

福良監督は普段はいつも笑顔を絶やさず、選手はもちろん、スタッフにもめったに雷は落とさない。ただ、今季の采配にいたっては「仏」から「鬼」に変わった。

3月24日、阪神とのオープン戦。それまで対左投手に打率・211と苦戦したT-岡田に、福良監督は右打者の代打・宮崎祐樹を送った。勝敗があまり重要視されないオープン戦にも関わらず、福良監督は勝つための近道にこだわったのだ。試合後、何事もなかったかのようにこう明かした。

「(T-岡田は)試合の最後まで出てほしい選手だけど、チームとして勝つために確率の高いほうを選ばないといけない」

勝敗を意識した背景には、宮内オーナーの「クレイジーキャンプ」発言も無縁ではなかったはずだ。宮崎キャンプ中盤にはバントを失敗した3選手をすぐに外し、昼食も抜きで、約5時間、バント練習だけを繰り返しさせた。バナナを食べながら、2500球ひたすら転がしていた選手もいた。在阪スポーツ紙デスクが明かす。

「昨シーズンまではチームの中心的存在だった糸井の長打に頼っていた部分もあった。しかし、それ以外はあまり攻撃のバリエーションを持つことができず、得点は12球団ワーストでした。それが今年は、ち密な攻撃に不可欠なバントを徹底させている。スタイルが変わったんです」

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阪急OBで捕手出身の評論家、中沢伸二氏は、今季の好調の要因をこう分析する。

「福良監督が目指す野球ができはじめたんじゃないかな。守りをきっちりして、1点、1点とっていく、というね。若い選手や新しい選手も加わって、それがうまく回り始めていますよね」

糸井が抜けた後、飛距離よりムラなく広角に打てる技術を持つロメロを獲得。球団が調査し、最終的には福良監督が映像でチェックして獲得にこぎつけた。

その新助っ人が、開幕4戦目の4日の西武戦で、チームを今季初勝利に導く来日1号を放つと、その試合から4試合連続でアーチをかけた。ロメロの本塁打でチームが勢いづくと、投手陣が気持ちに余裕を持ってマウンドにあがれる。各投手は、本来持っていた力を十分に発揮した。

 

開幕直前のオープン戦で、代打を送られた選手会長のT-岡田は、周囲にこう漏らしている。

「福良さんは、アカンことはアカンと言ってくれる。そんな姿勢から学ぶことも多い。'14年は毎試合終わったら余力が残っていないぐらい、出し切っていた。でもその分、優勝を逃したときは言葉では言い表せないぐらい悔しかった。福良さんを何とか胴上げしたいし、ファンの方にも喜んでもらえる1年にしたい」

実力はありながら、力を発揮できずに不完全燃焼に終わったここ2年。宮内オーナーの強烈なゲキによって「プロ野球選手は、勝たなければ高いカネのガラクタだ」ということを気付かされた。勝つためにようやく自分の殻を脱ぎはじめようとしているオリックスナインは、ズルズル負け続けることはなさそうだ。

「週刊現代」2017年4月29日号より

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