「過去の栄光にひたる」を英語で言えますか?

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4月13日の最初のコマで、This is a hard world to get along in. とルーシーが言っている。「住みにくい世のなかね」という意味だ。どうなふうに住みにくいか、ライナスにとっての一例が、4月14日の四コマで描かれている。

その日のライナスは『不思議の国のアリス』を読んでいる。グリニング・キャットのところにさしかかっている。一匹の猫が樹の上にいて、にやにやと笑っている。次第にその猫の姿が消えていき、最後には、にやにやと笑っている口だけが、樹の上の空中に残る。この猫はチェシャイア・キャット(Cheshire cat)と呼ばれている。

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そのライナスがふと自分の脇を見ると、歯を出してにやにやと笑っている口だけが、空中に浮かんでいるではないか。心の底から驚いたライナスは、髪が総立ちになる。

空中に浮かんでいるにやにや笑いの口は、スヌーピーのものだ。「もう何年も前から出来るよ。単なる条件反射だよ」と、スヌーピーは言う。

4月18日の四コマもじつに愉快だ。赤い小屋の屋根にスヌーピーがうつ伏せで寝ている。そこへライナスがやって来る。スヌーピーは歯を出して笑い、三コマ目ではにやにや笑いの口だけになる。口だけが赤い小屋の屋根のすぐ上に浮かんでいる。ライナスは不思議そうにそれを見る。

四コマ目でライナスは、「チェシャイア・ビーグルというものは見たことがありますか」と、ルーシーに訊いている。ビーグルはビーグル犬のことで、走るのが早く、長い両耳が垂れているのが特徴だ。

4月19日の四コマでも、チェシャイア・キャットの主題は続いている。赤い小屋の屋根にスヌーピーがうつ伏せている。そこへルーシーがとおりかかる。スヌーピーは歯を見せて笑っている。そのスヌーピーにルーシーが言う。

「この私にチェシャイア・キャットの真似をしたら、ぶっ叩くわよ」

そう言ってルーシーはどこかへいってしまう。屋根の上には歯を出して笑っているスヌーピーが取り残される。最後のコマのスヌーピーはにやにや笑いの口だけになり、屋根のすぐ上に浮かんで Rats!と言っている。

The Complete Peanuts 1993-1994 カバーはペパーミント パティ