闇カジノ問題で日本を去った、バドミントン・田児賢一の「いま」

マレーシアから一時帰国中に直撃
水谷 竹秀 プロフィール

桃田について思うこと

田児に誘われて違法賭博に手を染め、リオデジャネイロ五輪に出場できなかった桃田については、前述の通り3月半ばに処分解除が決定。早ければ5月下旬に実戦復帰が予定されており、東京五輪でのメダルも期待される。

そんな後輩と一緒に日本のバドミントン界を牽引し、騒動後の記者会見では「桃田は日本の宝です」と涙ながらに語った田児だが、桃田との連絡は途絶えているという。

「元々この騒動がある前から桃田のことはずっと応援しています。自分たちにしか分からない状況っていうのがあるから、この騒動があったからって関係がどうなるわけじゃない。桃田はどう思ってんのか分かんないですけど……」

記者会見で田児は「全責任は自分にある」と桃田を徹底的にかばったが、今でもその思いは変わらないようだ。

「周りは俺とかかわるなって言うかもしれないですけど、自分にできることがあれば桃田をサポートしたいなって思いますよね。いまは所属も違うからそれは現実的に難しい。でも、桃田のことは本当に応援しています」

 

田児が活動拠点にしているマレーシアには政府公認のカジノがある。クアラルンプールから車で1時間、そこからさらにロープウェーに乗ったところにある高原リゾート施設「ゲンティン・ハイランド」がそれだ。

意地悪な質問だとは承知している。日本で袋叩きのような目に遭って懲りているかもしれないが、念のために「マレーシアでカジノへ行っていますか?」と尋ねると、田児は苦笑しながら即答した。

「行くわけないじゃないですか! 勘弁して下さい」

そう言い放った田児は改札を通り、駅のホームへと歩いて行った。

日本社会からこぼれ落ち、フィリピンやタイでつましく生き延びる何人もの「日本を捨てた男たち」を私は目の当たりにしてきたが、彼もまたその1人になってしまうのか。あるいは新天地で再びチャンスを手にできるのか。

階段を降り急ぐ乗客たちに埋もれたその背中からは、言い知れぬ哀愁が漂っているように感じられた。