〔前回までの話〕2015年11月、働き盛りの私の身に、思いもよらぬがん宣告が下された。ステージIVAの末期がん、余命は1年。標準治療ではなく代替療法を選び、前々回、その試行錯誤を語り始めた私のもとに突然、読者からの批判的なメッセージが届くようになった。いったいどうして? 作家の朱郷慶彦さんが綴る、ほぼリアルタイムで進行する闘病ドキュメンタリー10回。
(第1回はこちら)
前回まで、ゲルソン療法を始めとする各種食事療法に必須の人参ジュースの代替品として、ノニジュースの可能性について考えてみた。
このノニジュースには、さらに驚くべき機能があるので、今回はそれについてもう少し述べようと思ったのだが、その予定は次回に譲りたいと思う。
今回は急遽、読者からのご意見をいくつか取り上げ、私なりの考え方を述べさせて頂こうと思う。こういう臨機応変な対応ができるのが、Webメディアでの連載の良いところだろう。
さて、興味深いことに、前々回(第8回)にノニが登場して以来、読者から送られてくるメッセージに批判的な内容が急に増えた。
「ノニって、マルチ商法で扱われることもある商材ですよね。良識を疑います!」
「怪しげな健康食品のステマかよ。いい加減にしろ!」
「QOLを重視するなら、標準治療を受けながら、ちゃんと緩和ケアすれば良いのでは?」
「代替療法なんて、医学的エビデンスがない時点でインチキです。効いたか効かなかったかすらろくに検証できない。よくそんなインチキに命を預ける気になるな」
「代替療法に根拠や実績があるのなら、すでに標準治療になっているはずでしょう。そうでないということは、根拠がないということなのです」
などなど。
第8回はまだ一般的なノニの話だったのに、この批判の山である。この稿を書いている時点ではまだ第9回は掲載されていないが、モリンダ社のノニジュースについて書いた第9回が掲載されたら、さぞかし非難の大合唱が起こることであろう。今からワクワクである。(第9回)
もちろん、応援の声もたくさん頂いている。筆者としては、応援や賛同の声も大変有り難いが、批判や非難の意見もまた楽しいものである。
賛否両論は物書き冥利に尽きるというもの。毒にも薬にもならないエッセイよりは100倍も良い。
批判の声もまた山の賑わい……あっ、それじゃ批判している人に失礼か(笑)。
批判と喧嘩は江戸の華、なのである。