阪神 金本知憲 「それでも凄い! 鉄人伝説」

連続フルイニング出場の世界記録は1492試合でストップしたが・・・
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 とはいえ、金本の右肩はもうパンク寸前。いや、間違いなく壊れている。発端は3月17日に行われたヤクルトとのオープン戦(神宮)。試合前の守備練習中にチームメイトと激突し、右肩腱板を部分断裂する重傷を負ったのである。

 掌が裂けても、骨が折れても黙って試合に出続けてきた鉄人が試合後、珍しく「痛い」と漏らすシーンがあった。

 ここ最近はカバンを持つのも苦痛で、食事に同席した知人に「箸が重たく感じる」と漏らしていたという。

「それでもチームメイトの前では弱音を吐かなかった。そんなコンディションでも誰よりも早く球場入りして体を苛め抜いていたぐらい。遠征に行かない時は、痛みをこらえながら甲子園球場のクラブハウスで筋トレをやっていた。3時間も4時間も、こもりっきりで・・・。チームメイトの前では『右肩の痛み? そんなモン知るか! 筋肉のコルセットで覆ってやるわ!』と笑い飛ばしていたそうです」(前出・関係者)

 球界屈指のタフガイというイメージの金本だが、プロ入り当初は線が細く、まったく打球が飛ばなかった。

 体力不足を痛感した金本は広島市内にあるジムの門を叩き、身体を徹底的に鍛えて、12kgもの筋肉の鎧を手に入れた。驚くべきは体重、体脂肪率とも、キープできているということ。血管年齢はなんと20代の若さだという。

 だが、そんな筋肉の鎧をもってしても、耐えられないほど、今回のケガは重傷だった。古巣・広島のOBが驚嘆する。

「カネはバットのヘッドを立て、腰の回転をうまく使って、患部に響かないようスイングしていた。"響かない"といっても、それは軽打した時の話。主砲のカネは長打を期待される存在。
  スタンドに届くくらいの打球を飛ばすためには、痛みは避けられない。実際、ホームランを打った時のカネは顔をしかめ、右手を振り切れてなかった。こんな状態でグラウンドに立ち続けるなんて、尋常じゃない」

 悲鳴をあげる肉体を衝き動かしていたのは「光」。これこそが、鉄人・金本を伝説たらしめたものだった。

天才・清原を凌駕した瞬間

 連続フルイニング出場記録ストップを事前に知らされた人物がいた。金本が毎年オフ、精神修行に訪れる最福寺(鹿児島)の池口恵観法主である。

「記録がストップした日の試合前、お昼頃でしたか、『今日は休みます。全力で治療しますから、(復活を)願ってください』というメールが入りました。実は前日夜に横浜のホテルで金本と会っているんです。
  その時、お加持をして、『気』を入れたんですが、私は海外出張明けで疲れていて、最後までやらなかったんです。金本の顔は元気でしたし、缶ビールを手に持って、『これはボールより重い』と言いながら、投げるマネもしてみせた。悔いが残りますね・・・」