2017.04.17
# シリア # 防衛・安全保障 # トランプ

トランプの「変節」に戸惑う世界と日本〜火薬庫と化した朝鮮半島

シリア攻撃で見えてきたこと
笠原 敏彦 プロフィール

日本の安保はこの男の掌中に…

それにしても、トランプ氏の変節漢ぶりはすさまじい。

選挙キャンペーンでは、北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」と切り捨てておきながら、12日のストルテンベルグNATO事務総長との会談後の記者会見では、「以前は時代遅れと言ったが、もはや時代遅れではない」と平然と語った。

12日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルに掲載されたインタビューでは、中国を為替操作国に認定するとしていた姿勢を一変させ、「中国は為替操作国ではない」と明言している。

NATOに対する姿勢転換は、アサド政権の後ろ盾であるロシアのプーチン政権と対峙するためにNATOの存在価値を見直した結果かもしれない。中国への柔軟路線は、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力を強めるための方策かもしれない。

トランプ大統領は「アメリカ第一主義」と、ときに「自分第一主義」を判断基準に状況に合わせて言動を変えているのだろう。そして、その姿勢は他国にとっては「ご都合主義」以外の何物でもないのである。

 

米軍は13日、アフガニスタン東部での対IS作戦で、通常兵器では最強の破壊力を持つとされる大規模爆風爆弾(MOAB)を実戦で初めて投入した。

同国のカルザイ元大統領が「なぜアフガニスタンを兵器の実験場にするのか」と反発する中、爆弾投下は北朝鮮の核・弾道ミサイル実験の抑止効果を狙ったものだとの指摘が出ている。

そして、爆撃の結果も詳しく分からない中で、トランプ大統領は「(米軍は)非常に、非常に成功裏に新たなミッションを果たした」と自画自賛している。

国連安保理に諮る素振りそぶりも見せずに踏み切ったシリアへのミサイル攻撃。その電撃的な単独行動に世界は戸惑いを隠せなかった。

矢継ぎ早の北朝鮮近海への空母派遣と巨大爆弾のデモンストレーション的な使用。こうした中、国際社会は浮足立ち、各国の言動はエスカレートする一方だ。

北朝鮮は「米国が無謀な軍事作戦に打って出るなら、我々は先制攻撃で対応する」(韓成烈外務次官)などと虚勢のレベルを上げ、不慮の暴発さえ懸念される。

日本の安倍晋三首相は北朝鮮のミサイルについて「サリンを弾頭に付けて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と発言した。

ロシアのプーチン政権は、力づくでクリミアを併合しておきながら、シリア攻撃を「国際法違反」だと臆面もなく批判している。

超大国アメリカの大統領が「ポスト真実」というバブルの中で生きているのだから、国際情勢が不透明感を増すのは必然なのかもしれない。

今や「世界の火薬庫」と化した朝鮮半島。日本の安全保障は事実上、このトランプ大統領の掌中にあるという現実をどう受け止めればいいのだろうか。

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