タモさんもビックリ!?「猫の目」で歩くと街はこんなに隙間だらけ

猫ストーカー、護国寺に現る!
浅生 ハルミン プロフィール

護国寺で隙間さがし

地下鉄に乗って護国寺へ行った日のこと。

護国寺は講談社のある街だ。ネクタイをした人がぱっぱと歩いている。「VOCE 会場はこちらです」という案内板を持って歩道に佇む美人がいる。肩までの長さの髪を良く巻いてある。

道幅の広い車のたくさん走る大通り。新建材でできたビルやマンションが建ち並び、すみずみまで人と経済の目が行き届いて、ノラ猫が憩えるような隙間はなさそうに見える。

でも、こういうところこそ、隙間を見つけるのにもってこいの場所なのだ。隙間は、周りが堅牢であればあるほど光る……というか、生まれている。

街の名前の由来になった護国寺は、今年で建立336年。東京都で最大の木造建築である。正面玄関のような仁王門をくぐる。本堂にお参りしようとしたら、まさにお坊さんが重い木戸を引いて戸締まりを終えたところだった。迦陵頻迦(上半身が天女、下半身が鳥)の天井画は今度また観に来たい。

戸が締まっても一応お賽銭箱の前で拝んでいると、がちゃっ、がちゃっと内鍵を締める音がした。お寺も鍵を締めるんだな、と当たり前のことを思った。南無阿弥陀仏。仏さんも店じまい。

photo by Harumin Asao

よく肥えているけれど毛の汚れた猫が4匹、本堂を支えている太い柱でばりばり爪研ぎを始めた。私のことを猫おばさんだと思ったのか、期待を込めた眼差しで近づいてきたけれど、「あ、違った」と日なたに移って気持ち良さそうに寝ている。

夕方の日光を一身に集めて、身体がふくらんだりしぼんだりしている。鼻の穴から生温かい呼気を吐き続けている。梅のつぼみがぷっくら開きそうだ。

猫は都会の隙間を生きる名人だから、隙間的散歩としてはここで猫とあいさつをして、幸先がいい。

 

お坊さんに護国寺の縁起をうかがった。

五代将軍徳川綱吉の母・桂昌院がこのへんにお寺を建てたいなと抱いていた願いを、息子の綱吉公が叶えて、今の場所に小さなお堂を建てた。のちにもっと大きな本堂を建立して今にいたる、ということだった。
 
綱吉といえば生類憐れみの令。

「猫はここにいたら絶対に安全ですね」と言うと、お坊さんは穏やかに

「生類憐れみの令は犬だけでなく、人間のためでもあったんです。その頃は人間の赤ちゃんや老人が捨てられていたんですよ。綱吉は人間の戸籍をつくりまして、それと同時に犬、馬、牛にも戸籍をつくりました。生類憐れみの令というのは、人間より犬が大切だったように言われていますが、命を大切にしなくてはいけないということだったんです」

と言った。

「猫は、戸籍は?」

「猫はもともとそのへんを行ったり来たりする生き物ですから、戸籍はいらなかったんでしょう」とお坊さんは面白そうに話した。

「そうですね、家畜ってわけじゃないですもんね」