『ソーシャルメディアはどのように教えられているか〜海外ビジネススクールの場合』

スタンフォード大学ビジネススクールのソーシャルメディアに関する講座「The Power of Social Technology」

 東日本大震災の発生、その後の復旧・復興作業の中で、ソーシャルメディアの役割に注目が集まっています。 多くの人がソーシャルメディアの持つ力に興味を持ち、どのようにして個人、組織、コミュニティの中で活用すればいいのか、試行錯誤が続いています。

 一方、以前から私が気になっている問題意識が一つあります。ソーシャルメディアを活用する組織が、またオンライン上で利用する私たち一人ひとりが、どのようにソーシャルメディアの効果的な利用方法を習得できるか、という点です。

 世界中に6億人以上のユーザーを持つといわれているフェイスブックも、日本の中でも話題になりつつあるとはいえ、現時点で日本での利用者数は300万人強、人口比にして僅か2.5%というのが現実です(* SocialBaker調べ)。

 書店にいけば数多くのガイドブックが特設コーナーの中で販売されています。アマゾンで「フェイスブック」を含む「本」のカテゴリーを検索すると、241件の本が見つかります。また、「ツイッター」に至っては1113件ものアイテムが存在します。なお、インターネット上で検索すれば、数多くの「ソーシャルメディアの使い方」に関する解説、まとめの記事、ブログでの投稿を見つけることが出きます。

 ただ、依然として、ソーシャルメディアはよく分からない、登録はしてみたけれど、怖くて使ってない、というような話をよく耳にします。企業での活用に関しても以前よりは活用が進んでいる印象はありますが、試行錯誤を続けている企業は少なくありません。

 ソーシャルメディアの活用が進んでいるといわれる海外、特にアメリカでは、どのようなソーシャルメディア活用の学びの機会があるのでしょうか? 今回はビジネススクールでどのようにソーシャルメディアの利活用に関して教えられているか、簡単にご紹介したいと思います。

海外MBA(経営学大学院)で続々と開設されるソーシャルメディア関連講座

 ニューヨークタイムズビジネスウィーク等の報道によると、ハーバード大学、スタンフォード大学、コロンビア大学、ニューヨーク大学、ロンドン大学、INSEAD(仏)等、欧米のトップMBAスクールで近年、ソーシャルメディアを取り上げた講座が続々と開設されていると報じられています。

 MBAの卒業生を採用する企業の視点からしても、近年ビジネスの最前線で「ソーシャルメディアの知識」を求めるケースが増えつつあるという実利的な背景もあるようです。普段フェイスブックを一利用者として使っているというだけでなく、マーケティングや経営の観点から、ソーシャルメディアの利活用を体系的に習得する必要性が生まれてきているようです。

 例えばハーバード大学の場合、ニコライ・ヤン・ピスコースキー(Mikolaj Jan Piskorski)准教授が講師を務める講座「ソーシャルネットワーク対策(competing with social networks)」は2009年秋に開講、人気を集める授業として2010年秋学期も行われました。

 授業での課題、リーディングアサインメントの情報は全てオンライン上で閲覧が可能です。講座の内容はピスコースキー准教授がその多くを執筆した約20の事例研究を取り上げながら議論を行うというものです。扱う事例はFacebook、Twitter、Linkedin, そして「ミクシィ」も含まれており、中には事例で取り上げた企業の創業者や部門責任者がゲストスピーカーとして参加する、という構成になっています。

 スタンフォード大学経営大学院では昨年、「ソーシャルテクノロジーの力(Power of Social Technology)」と題した講座が、ジェニファー・アーカー教授により行われました。アーカー教授は「ソーシャルメディアを使って、社会的な変化を生み出す」という副題の「ドラゴンフライ・エフェクト」という書籍の著者としても知られています。授業の中ではソーシャルテクノロジーを活用することでいかに社会的な課題を解決しうるか、ということをテーマに議論が行われました。

 扱う事例は2008年のオバマキャンペーン、途上国へのオンライン融資を可能にするサービス「kiva(キヴァ)」、その他NikeやeBayによるソーシャルメディアを活用した社会貢献的な取り組み等、多岐に渡ります。ゲストスピーカーには社会起業家、スタートアップの起業家、関連分野の専門家も数多く参加しました。授業のシラバス、授業で使われた事例研究も全てオンラインで閲覧可能で、何人かのゲストスピーカーの講義の動画、そして学生が課題として提出した動画プレゼンテーションも閲覧可能です。

 授業の履修期間中にハイチとチリの地震が発生し、学生が実際にソーシャルメディアのツールを駆使して支援活動を行った様子等、ブログや動画を通じて授業の内容を具体的に伺い知ることが可能です。

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