極右マリーヌ・ルペンが握る「EU崩壊」の引き金

仏大統領選 大番狂わせは起こるか
国末 憲人 プロフィール

フランスは間もなく、5年に一度の大統領選を迎える。4月23日の第一回投票をルペンが勝ち抜くのは確実視される。決選ではまだ、他の候補に敗れるだろうと見られているものの、大番狂わせの可能性を指摘する声も日に日に高まる。

もしルペンが大統領になったら、世界は大きく変わる可能性がある。これまで独仏で動かしてきたEUは、もはや正常には機能しないだろう。ロシアの大統領プーチン、米大統領トランプと結びついて、世界をあらぬ方向につれていく恐れも拭えない。

 

たとえ大統領選でルペンが敗れても、危機の収束にはほど遠い。フランスと欧州が現在置かれた状況は、10年単位で取り組むべき課題となっている。『ポピュリズムと欧州動乱 フランスはEU崩壊の引き金を引くのか』(+α新書)は、このようなフランスの現状と経緯、今後の展望を、欧州と世界の流れの中で探った記録である。

フランスと同じような状況に、日本も早晩、直面せざるを得ないだろう。フランスはいつも、日本の数歩先を歩んできたのである。だから、フランスの後ろ姿に学ぶべき点は多い。同書を通じて、その一端でも伝えられれば光栄である。

読書人の雑誌「本」2017年5月号より