タバコが売れないなか、なぜJTは営業利益を伸ばせるのか?

「販促費の圧縮」に秘密アリ…?
中沢 光昭 プロフィール

タバコ屋が町から消える日…?

販促費を見ると、2008年度はJT全体で1623億円でしたが、2015年は1202億円と9年間で421億円も削られています。また、JTは同期間に工場等を複数閉鎖しています。そうしますと、利益を増加させたインパクトの残り600億円のうち、かなりの部分が販促費および工場等の閉鎖による固定費の圧縮だったのではないかと推測できます。価格や製品設計の自由度が一般的な製造業と違い、制限が多いことを想像するに、原材料費率の改善には限界があると思われるからです。

さて、2016年11月に、港区のいわゆる町のタバコ屋さんが脱税で告発されたのを覚えている方もいるかもしれません。3年間で1億3000万円の所得を隠し、結果的に5300万円を脱税したという事件でした。

 

タバコ屋さんってそんなに儲かるの…? この記事を見て私もそう思いました。そこで色々と調べてみたところ、タバコの売上自体ではなく、JTからの協賛金がその原資だったことがわかったのです。

(読売新聞11月9日の夕刊では、この事件について「(このタバコ店は)2011年に店舗を改装した際にJTから得た協賛金収入を申告から除外するなどの手口で、14年までの3年間で約1億3000万円の所得を隠した疑いがある」と報じている)

喫煙率が下がり、町のタバコ屋さんも大変だと思われながら、意外に潰れない店があるのは、こうした仕組みがあったからなのです。前出の業界関係者によると、都内のちょっとした店舗でも100~200万円ほど毎年のように協賛金が出るような時代もあったようなので、おじいちゃんおばあちゃんが店番をして生活していく分なら充分な金額だったのかもしれません。

しかし、逆に言えば、もしも協賛金の削減が進められるならば、そのまま町のタバコ屋の経営を直撃します。

タバコ販売店は2009年度末では29.3万店ありましたが、2015年度末では25.8万店に減少しました。割合で言えば12%減です。この間に販売数量は30%以上減っていることを考えれば、土俵際で耐えているタバコ店がかなりあるのでしょう。

特に近年、コンビニでの販売数が増えてきていることを推測すると、「町のタバコ屋さん」は相当に苦しい状態になっていると考えて間違いないでしょう。町のタバコ屋が日本から消える日もそう遠くないかもしれません。

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