休暇の旅行計画、台湾に行くなら台北よりも「台南」です!

構想1年以上、川島小鳥の新作ガイドブック
川島 小鳥 プロフィール

旅をした気分になれますように

数年前に台南で偶然出会ってから友達になったヤマサキハナコちゃん(お兄様との共著『オモロイ台南』を出した、台南市政府公式! 大阪・台南ファン応援団★)という心強い味方と一緒にカフェや路地を巡り、思いつくままに写真を撮りながら本の輪郭を探っていくような、取材以前の取材が始まった。

しかし、やったことがないことに対する底知れない恐怖がふつふつ。できるのかな? 自分、ガイドブックって、プレッシャー……、という暗黒の疑念を明るい展望に変えてくれたのはハナコちゃんの「小鳥の感じた台南のまんまでええんちゃう?」という大阪弁の一言。ほなどうしよ? 僕が感じる台南て? と自問自答しながら、意気込んで用意したノートに「あなたの好きなところ」を書いていくことにした。

美味しい、楽しい、ワイルドな、かわいい、といった形容詞たち。馬鹿みたいに単純な単語ばかりだがそこは正直に。最終的に『愛の台南』というタイトルに決まったように、僕が台南を好きな理由は台南に流れている陽気で愛情たっぷりの空気感。

見て楽しくて、実用的に愛してもらえるガイドブックを作りたい。思いついた形容詞から派生した特集を章立てしていくことが、この本の肝なのではないかと思うようになった。

写真上下 撮影:川島小鳥

一度東京に帰って、撮影してきた写真とたくさんのアイデアメモを持参して、担当編集者の神谷さんに会いに行った。

神谷さんは雑誌『FRaU』での斬新で深い内容の台湾特集や、台湾での僕の活動を手助けしてくれたお姉さんのような存在の青木由香さんの本を担当された超敏腕編集者。

実はこの本を作りたいと言って、初めて神谷さんと待ち合わせした時、その直前にものすごくショックな出来事があった。昼間の原宿で不覚にも涙が出ていたけれど、待ち合わせに遅刻してはいけないと急いでカフェに向かって、神谷さんと目があった途端、その優しい瞳についまた涙が止まらなくなってしまったという、超絶恥ずかしい過去がある。

 

恥ずかしさは心のゴミ箱に捨てて、会議が始まった。僕のふわふわしたアイデアをいいですねーと言って具体的に台割をさくさく作っていく敏腕ぷりに感動しつつ、本の輪郭が立ち上がってきたことの興奮と緊張が体を貫く。次回の本取材に向けて武者震いした神楽坂の午後。