マラソンブームに医師が警告!いま中高年を襲う「突然死」のリスク

「意外と走れる」その勘違いが命取り
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体育会系は早死にする

また、若い頃から走ってきたからといって、自分の体力を過信するのは非常に危ない。

免疫学を専門とする、土佐清水病院の丹羽耕三院長が語る。

「若い頃に激しい運動をしてきた人は、心臓の摩耗と機能低下を抱えていることが多い。その蓄積されたダメージが歳をとってから露見することがある。昔は問題なく走れていた人でも、やはり40を過ぎてからのマラソンは危険ですね」

よく「マラソンランナーは短命」と言われるが、実際、体育会系の人は、そうでない人よりも平均寿命が約6年短いという調査結果がある。

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マラソンによってダメージを受けるのは心臓だけではない。ドイツのベルリン大学病院が、ベルリンマラソンの参加者約150人(平均年齢50歳)を対象に、走る前と走った後の腎機能検査を行ったところ、選手のおよそ半数がマラソン後は約25%も腎機能が低下していた。

マラソン中は老廃物が大量に排出されるため、腎臓の濾過機能が追いつかなくなるのに加えて、汗により血中の水分が少なくなり、腎臓への血流量が減ってしまったのだ。これにより腎臓の細胞が破壊され、腎機能が低下したのである。

さらに恐ろしいことに、マラソンを続けると「ガンになるリスクも増加する」と丹羽氏は言う。丹羽氏は活性酸素の研究の第一人者でもある。

「活性酸素とはいわゆる酸化した『身体のサビ』と呼ばれるもので、一定量であれば、細菌やウイルスを攻撃し、身体を守ってくれますが、それが蓄積されすぎるとむしろ悪影響のほうが強くなる。

マラソンのように無酸素運動に近い、激しい運動をした場合、体内は酸化が進み、活性酸素が大量発生します。それが健康な細胞まで攻撃し始め、やがては『ガン』となるのです」

 

ガン治療を専門とする銀座東京クリニックの福田一典院長も、マラソンなどの過剰な運動に対してこう警鐘を鳴らす。

「若いうちは抗酸化力も強いので、激しい運動をして活性酸素の害を受けても、身体を元に修復してくれますが、中高年になると活性酸素を消去する酵素の量が減ってくるので、活性酸素が溜まったままになってしまう。これが身体にダメージを与えるのです。ですから中高年がマラソンをするのは身体に良いはずがない。

もう一つ、細胞がガン化する原因として『炎症』があります。激しい運動により、内臓や筋肉に慢性炎症を患うと、そこから活性酸素が大量に発生し、ガンになるのです。

人間は屈強さを求めると寿命が短くなります。男性より女性の寿命が長いのはそのためです。筋肉を鍛える働きをもつエムトール(mTOR)というタンパク質があるのですが、これが老化を促進し寿命を短くする働きがあるのです。さしずめマラソンは命の炎を燃やして走っているようなものですね」

健康のために始めたはずのマラソンが、実は寿命を削っていた……。中高年にとって無理な運動は「百害あって一利なし」ということを、もう一度認識する必要がある。

「週刊現代」2017年4月15日号より