マラソンブームに医師が警告!いま中高年を襲う「突然死」のリスク

「意外と走れる」その勘違いが命取り
週刊現代 プロフィール

自身もマラソンランナーで、循環器科を専門とする佐藤医院(徳島市)の佐藤隆久院長が語る。

「フルマラソンになると『完走することに意義がある』と考えるランナーが増えてきます。私もそうですが、中高年にとってはチャレンジ精神で『より長い距離を走ることが体力の自信につながる』と、つい挑戦したくなるものです。

特に本番になると、体調不良を感じながらも、頑張りすぎてしまいがち。それが突然死を招く要因にもなっています。フルマラソンを走る際には、普段からの準備はもちろん、自分の年齢や体調を考え、安全性には十分注意しなければなりません」

過去のマラソン大会における死亡例を見ると、ゴール直前で亡くなっているケースが散見される。「あと少しでゴールだ」と無理をしすぎた結果、心臓に負荷がかかりすぎてしまったと推測される。

 

このように、マラソンは健康にいいどころか、命を危険にさらす行為だ。実際、アメリカの研究では「1週間で48km以上のランニングをする人は、それ以下しか走らない人と比べ、心臓病のリスクが上がる」と報告されており、他の諸外国でも同じような調査結果があがっている。

マラソン中は血圧も大きく上昇するので、特に中高年からマラソンを始める場合は、虚血性心疾患など血管に異常がある人は絶対に無理をしてはいけない。

にもかかわらず、ランニングは体にいいと思い込み「自分は大丈夫だ」と過信している人も多い。

「最近は、参加資格も必要としない大会が増えており、誰でも希望すれば参加することができます。その中には潜在性心疾患を持つ人が参加していることがままある。それ故、事故の危険性も高くなると分析されています」(前出の佐藤氏)

通常、心電図は安静状態で記録されるため、その時は異常がなくとも、運動中には「狭心症」などの心疾患が発生している可能性もある。潜在性心臓疾患を見抜くためには、マラソン時と同じ負荷をかけた状態で、心電図を記録することが必要になってくる。

だがこの検査を受けているアマチュアランナーはほとんどいないのが現状だ。しかもこの検査で問題がなかったとしても、マラソンなどの長時間の運動に対して、安全性が完全に担保できるわけではない。

「マラソンやジョギングは生活習慣病の改善に有効だとされていますが、一歩間違えば死にもつながる『諸刃の剣』でもあります。そのような不幸な事故を減らすためにも事前のメディカルチェックの必要性が大きく叫ばれています」(佐藤氏)