2017年3月6日、北朝鮮が4発のミサイルを発射した。
発射場所は北朝鮮西岸東倉里であり、そこから北朝鮮の領土を横断し、日本海に入り、日本の排他的経済水域(EEZ)に3発が落下した。約1000キロ飛行したことになる。安倍晋三首相はドナルド・トランプ米大統領と会談するために訪米中で、すぐに「きわめて危険な行為」だと非難した。
北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)は、「在日米軍基地への攻撃に向けた演習だった」と伝えた。日米首脳が会談するタイミングに在日米軍基地を狙った演習としてミサイルを発射し、注目を引きつけようとしたのだろう。
その頃韓国では、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を構成する設備の第1弾が、首都ソウル南郊の烏山空軍基地に搬入されていた。ソウルの大統領府(青瓦台)から55キロの地点である。
アジア太平洋全域を管轄する米太平洋軍のハリー・ハリス司令官は記者発表で、「北朝鮮は昨日のミサイル発射に見られるような挑発行為を続けている。こうした行為は、昨年韓国へのTHAAD配備を決めたことが賢明な判断だったことを裏付けるばかりだ」と述べた。
北朝鮮のミサイル問題は、米国を含むアジア太平洋全体を不安定にする要素である。その北朝鮮のミサイル・プログラムにサイバー攻撃を仕掛けることは可能だろうか。
2009年1月にバラク・オバマ米大統領が就任する際、前任のジョージ・W・ブッシュ大統領との間で二人きりで引き継ぎが行われたという。
そこでブッシュ大統領がオバマ新大統領に継続を頼んだのは二点。ドローンによる中東でのテロ対策と、イランの核施設に対するサイバー作戦である。
後者は2010年6月頃に露見し、民間のアナリストたちによって「スタックスネット」と名付けられた。
核施設という重大な影響のあるインフラに対するサイバー攻撃が実際に行われ、ある程度の成功を収めたということが大きな注目を集め、2017年現在でも史上最大のサイバー攻撃だとされている。
2012年6月1日付けの米ニューヨーク・タイムズ紙は、イランの核開発を遅らせるために米国とイスラエルが行った共同作戦だったと報じた。
2013年6月には、米国政府の国家安全保障局(NSA)のために民間の契約職員として働いていたエドワード・スノーデンが大量の機密情報を漏洩した。
NSAは米国のインテリジェンス機関であり、サイバー防衛およびサイバー工作活動に携わっている。スノーデンが漏洩した文書の中には米国がサイバー攻撃を準備していることをうかがわせる書類も含まれていた。
2016年2月、米国のアシュトン・カーター国防長官は、イスラム国に対してサイバー攻撃を行っていることを記者会見で明らかにした。
ドローンとサイバーという二つのハイテクを使った秘密工作活動は、オバマ政権を特徴付ける活動といって良いだろう。