提供:MHD
新連載「タリスカー・ゴールデンアワー」の劈頭を飾るゲストは、名著『モルトウイスキー・コンパニオン』(マイケル・ジャクソン著 小学館刊)の翻訳者の1人、山岡秀雄さんである。山岡さんは翻訳者であり、歴とした小学館の社員でもある。
わたしはいつも、愛情を込めて、年下の男たちを呼び捨てにしているのだが、山岡秀雄さんだけは例外だ。敬意を表して「ヤマオカさん」と呼んでいる。なぜなら、山岡さんは、わたしのウイスキーの師匠だからだ。
師匠はモルトウイスキー界の泰斗である。アイラ島で開催されるブラインド・テイスティング・コンテストで4年続けて優勝したこともある。モルトウイスキー評論の巨星、故マイケル・ジャクソンをして「ヤマオカはテリアの鼻と鷹の目を持つ」と言わしめた傑物なのだ。
座談会の面々は、モエヘネシーディアジオ社(MHD)のシングルモルトアンバサダー、ローバート・ストックウェル氏(通称ボブ)、講談社からは「現代ビジネス」のヒノ、それに初回ということで、セオ部長も参加してくれた。写真はもちろん巨匠・立木義浩さんである。
場所はMHDのオフィス内にあるバー。タリスカー10年のスパイシーハイボールを飲みながら、座談会は豪華にはじまった――。
(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)
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シマジ: タッチャン、このバーは文句のつけようがないほど広くていいでしょう。
立木: たしかにシマジの部屋から比べると10倍くらい広いね。おお、セオもいるじゃないの。
セオ: お久しぶりです。これから始まる連載の第1回目なので、敬意を表して馳せ参じました。
立木: いい心がけだ。おれより先にきているのがなおよろしい。これからも、たまには顔を出したほうがいいぞ。シマジの暴走を止められるのはお前くらいしかいないんだからな。
シマジ: タッチャン、こちらが今回のゲストの山岡秀雄さんです。山岡さんはわたしのモルトウイスキーの師匠でもあるんですよ。
山岡: 今日はよろしくお願いします。
立木: よろしくね。
シマジ: そして、こちらがボブ。わたしのアシスタントをしたいと志願してきたんです。ボブはMHDのシングルモルトアンバサダーなんですよ。
ボブ: よろしくお願いします。
立木: よろしく。ボブはシマジより偉いんじゃないの。むしろシマジがアシスタントをしたらいいじゃない。
ボブ: いえいえ、滅相もない。シマジ先生のほうが100倍有名ですから。それに伊勢丹のサロン・ド・シマジでは、「タリスカー10年」の売上に多大なる貢献をいただいておりますから。週末だけしかバーマンをやっていないというのに、すべてはシマジ先生の魅力の賜物です。
シマジ: ボブ、「先生」はやめてください。死んだ親父が学校の先生だったので、「シマジ先生」といわれると、どうも親父を思い出すんです。
立木: お、ヒノもいるじゃないか。
ヒノ: シマジさんからどうしても担当してくれといわれまして、また立木先生にお世話になることになりました。今後の日程調整等は、すべてぼくがやりますのでよろしくお願いします。
立木: ぜひともそうしてくれ。シマジが出しゃばるとろくなことがない。こいつとは40年以上の付き合いになるが、いままで大変な思いをさせられたからな。
シマジ: まあ、まあ、タッチャン、昔の話は水に流して、さっそくはじめましょう。