「マンション管理費横領」が全国で続発!7億使い込んだ理事長も

面倒くさいと、任せきりにしていると…
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だがこうした「表面化している例はあくまで氷山の一角に過ぎない」と警告するのは、マンション評論家の榊淳司氏だ。

「古いマンションの管理組合だと、印鑑と通帳を同一の人物が管理しているところが少なくないため、不正の温床になりやすいのです。

でも、横領が表沙汰になるのは被害額があまりに巨額で事件化が避けられない場合だけ。たいていは不正があっても部屋の持ち主が物件の価値低下を恐れて公表したがらず、表には出てこない。本気で調べたら、どれだけの不正があるか分かりません」

前出のリゾートマンションの場合、分譲時に一括で集めた修繕金を別枠で管理していたため、現実的には「致命傷」とはならなかった。

だが同じ新潟県内には、多額の横領発覚を機にいまにも崩壊の危機を迎えようとしているマンションがある。

新潟市内、製菓メーカーの所在地として有名なJR亀田駅から徒歩数分のところにある築38年、48戸のマンション。

昨年10月、このマンションの管理組合が原告となり、管理費など2200万円以上を着服した元組合長と元会計責任者に対して損害賠償を求める訴訟を起こした。

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収支報告はすべてデタラメ

この不正を発見し、現在は同マンションの管理組合の組合長を務めるCさん(60代・女性)が言う。

「ここはもうすぐ築40年。本当ならすぐにでも修理が必要です。去年検査に入った建築会社には、『階段とベランダ部分はすぐにでも修繕をしなければ事故が起こる危険な状況』とまで言われました」

確かに記者が足を踏み入れると、内部のコンクリートはあちこちがひび割れ、踊り場には雨水がたまっている。

「業者の見積もりでは、マンション全体の修繕に1億円かかるということでした。そんなお金はもうどこにもない」(Cさん)

数年前に東京から故郷である新潟へ戻って、このマンションの一室を約1100万円で購入したCさんが違和感を覚えたのは、'14年4月の管理組合総会でのことだ。

「収支報告書の繰越残高の欄を見ていたら、前年までの数字とどう計算しても合わない。金額の乖離があまりにも大きいので会計責任者に、『預金残高を確認させてほしい』と頼みました。

すると、『個人情報だし、役員でもない人に見せられない』の一点張り。『これは何かあるな』と思い、次の役員改選の時を待ったんです」(Cさん)

他の住民たちの同意を取り付けて理事に就任したCさんは、あまりにずさんな運営実態を目のあたりにする。

「まず、『貸借対照表』や『管理組合総会の議事録』など、本来あるべき資料や記録が何にも残されていなかった。毎年の総会で渡されていた『収支報告書』もすべてデタラメ。管理費口座の残高を銀行に照会したら、1年につき500万円は貯まっているはずが50万円しか残っていなかった。

二人に問いただすと『日当として1万円を受け取っていた』と言い訳するのですが、組合の規定には日当など存在しない。何に使ったのか、どこまで弁済を求められるのか、これから裁判で争っていきます」(Cさん)

 

本来、マンションの管理組合の理事会には理事長や副理事長、会計責任者の他に、適切な管理運営が行われているかを監査する「監事」という役職がある。だが、ほとんどのマンションでは監事の役割が形骸化してしまっているのが実情だ。

「理事の仕事を確認するのが監事の役割なので、本来は大きな責任があるのですが、理事から漏れた役員候補者をそのままあてがうマンションも少なくない。

監査行為自体も、決算からしばらく経って領収書や書類の束が管理会社から監事のところに送られ『目を通して1~2週間内に監査報告書を出してください』というだけの場合もある。まともなチェック機能が働くはずがない」(マンション管理に詳しいさくら事務所の川島崇浩氏)