「コイツには何言ってもいい系女子」が密かに我が身を切り刻んでる件

電通過労自殺が伝えるもう1つのこと
中野 円佳 プロフィール

仕事で男性と比較されながら、容姿については別の領域で勝負している女性と比較され、人生については専業主婦や子供のいる人と比較され、様々な価値観に引き裂かれながら、頑張りすぎるくらい頑張っている。

それが日本の会社で働く若い女性たちの実態ではないか。

 

「こいつには何を言ってもいい系女子」だって傷ついている。今も、心無いセクハラ社会で、密かに自分の身を切り刻んでいる。

また、日本人は年齢差別に対する感度が低く、若ければ何でも言っていいという風潮がある。男性でも同じように「いじり」で身を裂かれるような思いをしている人がいるかもしれない。LGBTの方々はもっと苦しいかもしれない。

だから、新入社員、あるいは異動してきた若手や女性を受け入れる側の、会社の人たちにお願いだ。仕事の指導や評価は当然、してもらってもいい。その中で叱咤激励もあると思う。フィードバックはしてもらえたほうがいい。

でも、仕事以外のところでとやかく言われるのはあまりにも理不尽で、ストレスフルだ。個性がある人たちを若いということ、性別などのカテゴリだけで比べないでほしい。仕事と関係のない人格、見た目、人生でいじらないでほしい。指導、毒舌と、差別やいじめは別物だ。

今回、自分の海外転出の都合もあり直接ご遺族や関係者の取材をせずに書くことになり心残りだったものの、心から高橋まつりさんのご冥福をお祈りするとともに、長時間労働だけではなくこの国の病理が少しでも改善し、心を傷める人が1人でも減ることを祈る。

(*中野円佳さんの過去記事はこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/madokanakano

2000年代に総合職として入社し、その後出産をした15人の女性(=「育休世代」と呼ぶ)に綿密なインタビューを実施。それぞれの環境やライフヒストリーの分析と、選択結果との関連を見ていく中で、予測外の展開にさまざまな思いを抱えて悩む女性たちの姿と、その至らしめた社会の構造を明らかにする。